*19:00JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:米CPI、米FOMC、ECB政策金利発表
■株式相場見通し
予想レンジ:上限32600円-下限31700円
植田和男日銀総裁による12月7日の参院財政金融委員会での発言が、東京市場の大きなターニングポイントとなった。
「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな金融政策運営になる」と発言し、日銀のマイナス金利解除観測がにわかに強まった。
12月4日に日銀によって開催された多角的レビューでは地方銀行側からマイナス金利解除の要望があったとの報道もあったことから、海外機関投資家を中心に政策変更への思惑が強まり、12月7日には外国為替市場で一晩に5円50銭程急速に円高ドル安が進行、翌8日の日経平均は大幅な下落となった。
8日発表の11月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比19.9万人増と、市場予想の18万人増を上回り、失業率は10月の3.9%から3.7%に低下した。
平均時給は前月比0.4%増(10月は0.2%増)で、労働需給は一時のひっ迫感からは緩んだものの、労働市場の底堅さが示されることになった。
早期の利下げ期待が後退し、上値は抑えられたものの米国経済のソフトランディング期待が意識されて、8日の米国株はNYダウ、S&P500、ナスダック総合指数ともに上昇して引けた。
次の焦点は、3会合連続で政策金利据え置きが有力視されている米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエルFRB議長会見となる。
来週は米国で、11月消費者物価指数(CPI)など主要経済指標の発表が集中するが、これらを無難に通過すると、米長期金利は下落、NYダウは上昇して為替市場では円高ドル安が進みやすくなる可能性があり、東京市場ではマイナス材料としてはたらく公算が高い。
また、日銀金融政策決定会合が翌週18-19日開催予定で、年末高ムードが霧散した東京市場は、神経質な展開が継続しそうだ。
「政治と金」の問題で、政局が不安定となっていることも懸念材料だ。
12月に入り米国株高と日経平均の連動性が弱まっており、引き続き為替の動向が日経平均の動向を左右してくる可能性が高い。
8日にマドを空けて下落した日経平均は2週間で1300円を超す下げを見ていることから短期的な自律反発への期待もある。
一方、32000円から31000円の水準は、10月30日の安値30538.29円からの出戻りの過程で、こちらもマドを空けて急伸したゾーンにあたることから上にも下にも振れやすく、短期スタンスの視点からは機動的な投資姿勢が求められてこよう。
全般相場が落ち着きを取り戻すまでには、企業が発表するリリースなどを手掛かりとした個別株物色が中心となりやすい。
全般、手掛かり難のなか、14日に転職サイト「ビズリーチ」を手掛けるビジョナル (TYO:4194)がプライム市場へ上場市場を変更する。
また決算発表では、Vチューバ―事業を展開するANYCOLOR (TYO:5032)が14日に2024年上期決算を、業務用食品の神戸物産 (TYO:3038)は15日に2023年10月期通期決算発表を予定している。
また、来週は4社のIPOが予定されていることを踏まえると中小型株にも関心が向きやすいタイミングだ。
このほか、海外旅行関連、食品メーカー、100円ショップなどを展開する小売企業など円高メリット株に関心が向かう可能性もある。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。
日本銀行の金融緩和修正観測を背景に、円買い圧力が続くとみられる。
日銀植田総裁は12月7日の国会質疑で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と答弁。
これを受け、金融緩和の早期修正観測が台頭し、リスク回避の米ドル売り・円買いが活発となった。
今月開催の日銀金融政策決定会合を控えて、円高圧力が続きそうだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制の方針を堅持しているものの、利上げは終了しており、来年半ば頃に利下げが開始されるとの見方が浮上していることもドル買い・円売りを抑制することになりそうだ。
一方、今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では政策金利の据え置きが決まる見込み。
ただし、同時に公表されるFOMCの政策金利見通しで追加利上げの可能性が否定された場合、米長期金利安・ドル安の展開となる可能性は残されている。
なお、12月12日発表の11月米消費者物価総合指数(CPI)は前年比+3.1%程度、同コア指数は同+4.0%程度と予想されている。
市場予想と一致した場合、インフレ緩和の思惑でリスク回避的なドル売り・円買いがやや強まりそうだ。
■来週の注目スケジュール
12月11日(月):工作機械受注(11月)、米・3年債、10年債入札、など
12月12日(火):国内企業物価指数(11月)、独・ZEW期待指数(12月)、米・消費者物価コア指数(11月)、など
12月13日(水):日銀短観(大企業製造業DI)(12月調査)、米・生産者物価コア指数(11月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利発表、米・FOMC終了後、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見、など
12月14日(木):コア機械受注(10月)、鉱工業生産(10月)、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、ラガルド総裁が記者会見、米・小売売上高(11月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、など
12月15日(金):中・鉱工業生産指数(11月)、中・小売売上高(11月)、独・総合PMI(12月)、欧・ユーロ圏総合PMI(12月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(12月)、米・鉱工業生産指数(11月)、米・設備稼働率(11月)、など
予想レンジ:上限32600円-下限31700円
植田和男日銀総裁による12月7日の参院財政金融委員会での発言が、東京市場の大きなターニングポイントとなった。
「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな金融政策運営になる」と発言し、日銀のマイナス金利解除観測がにわかに強まった。
12月4日に日銀によって開催された多角的レビューでは地方銀行側からマイナス金利解除の要望があったとの報道もあったことから、海外機関投資家を中心に政策変更への思惑が強まり、12月7日には外国為替市場で一晩に5円50銭程急速に円高ドル安が進行、翌8日の日経平均は大幅な下落となった。
8日発表の11月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比19.9万人増と、市場予想の18万人増を上回り、失業率は10月の3.9%から3.7%に低下した。
平均時給は前月比0.4%増(10月は0.2%増)で、労働需給は一時のひっ迫感からは緩んだものの、労働市場の底堅さが示されることになった。
早期の利下げ期待が後退し、上値は抑えられたものの米国経済のソフトランディング期待が意識されて、8日の米国株はNYダウ、S&P500、ナスダック総合指数ともに上昇して引けた。
次の焦点は、3会合連続で政策金利据え置きが有力視されている米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエルFRB議長会見となる。
来週は米国で、11月消費者物価指数(CPI)など主要経済指標の発表が集中するが、これらを無難に通過すると、米長期金利は下落、NYダウは上昇して為替市場では円高ドル安が進みやすくなる可能性があり、東京市場ではマイナス材料としてはたらく公算が高い。
また、日銀金融政策決定会合が翌週18-19日開催予定で、年末高ムードが霧散した東京市場は、神経質な展開が継続しそうだ。
「政治と金」の問題で、政局が不安定となっていることも懸念材料だ。
12月に入り米国株高と日経平均の連動性が弱まっており、引き続き為替の動向が日経平均の動向を左右してくる可能性が高い。
8日にマドを空けて下落した日経平均は2週間で1300円を超す下げを見ていることから短期的な自律反発への期待もある。
一方、32000円から31000円の水準は、10月30日の安値30538.29円からの出戻りの過程で、こちらもマドを空けて急伸したゾーンにあたることから上にも下にも振れやすく、短期スタンスの視点からは機動的な投資姿勢が求められてこよう。
全般相場が落ち着きを取り戻すまでには、企業が発表するリリースなどを手掛かりとした個別株物色が中心となりやすい。
全般、手掛かり難のなか、14日に転職サイト「ビズリーチ」を手掛けるビジョナル (TYO:4194)がプライム市場へ上場市場を変更する。
また決算発表では、Vチューバ―事業を展開するANYCOLOR (TYO:5032)が14日に2024年上期決算を、業務用食品の神戸物産 (TYO:3038)は15日に2023年10月期通期決算発表を予定している。
また、来週は4社のIPOが予定されていることを踏まえると中小型株にも関心が向きやすいタイミングだ。
このほか、海外旅行関連、食品メーカー、100円ショップなどを展開する小売企業など円高メリット株に関心が向かう可能性もある。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。
日本銀行の金融緩和修正観測を背景に、円買い圧力が続くとみられる。
日銀植田総裁は12月7日の国会質疑で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と答弁。
これを受け、金融緩和の早期修正観測が台頭し、リスク回避の米ドル売り・円買いが活発となった。
今月開催の日銀金融政策決定会合を控えて、円高圧力が続きそうだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制の方針を堅持しているものの、利上げは終了しており、来年半ば頃に利下げが開始されるとの見方が浮上していることもドル買い・円売りを抑制することになりそうだ。
一方、今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では政策金利の据え置きが決まる見込み。
ただし、同時に公表されるFOMCの政策金利見通しで追加利上げの可能性が否定された場合、米長期金利安・ドル安の展開となる可能性は残されている。
なお、12月12日発表の11月米消費者物価総合指数(CPI)は前年比+3.1%程度、同コア指数は同+4.0%程度と予想されている。
市場予想と一致した場合、インフレ緩和の思惑でリスク回避的なドル売り・円買いがやや強まりそうだ。
■来週の注目スケジュール
12月11日(月):工作機械受注(11月)、米・3年債、10年債入札、など
12月12日(火):国内企業物価指数(11月)、独・ZEW期待指数(12月)、米・消費者物価コア指数(11月)、など
12月13日(水):日銀短観(大企業製造業DI)(12月調査)、米・生産者物価コア指数(11月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利発表、米・FOMC終了後、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見、など
12月14日(木):コア機械受注(10月)、鉱工業生産(10月)、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、ラガルド総裁が記者会見、米・小売売上高(11月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、など
12月15日(金):中・鉱工業生産指数(11月)、中・小売売上高(11月)、独・総合PMI(12月)、欧・ユーロ圏総合PMI(12月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(12月)、米・鉱工業生産指数(11月)、米・設備稼働率(11月)、など