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国内株式市場見通し:今年最後のイベントである日銀会合後の乱高下には警戒

発行済 2023-12-16 12:55
更新済 2023-12-16 13:00
© Reuters.
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*12:55JST 国内株式市場見通し:今年最後のイベントである日銀会合後の乱高下には警戒 ■為替の動きに翻弄される展開に


今週の日経平均は週間で662.69円高(+2.05%)の32970.55円と上昇した。
12月6日から7日にかけて市場に伝わった日本銀行の植田総裁と氷見野副総裁の発言に対する円高進行が一服となったことから、11日の東京市場は大きなマドを伴う上昇でスタート。
週央にかけては、米連邦公開市場委員会(FOMC)や欧州中央銀行(ECB)理事会開催を前に様子見ムードが漂い、日経平均は33000円水準でのもみ合いとなった。



その後、日本時間14日未明に、米連邦準備制度理事会(FRB)は、3会合連続での利上げ見送りと2024年に3回(0.75%)程度の利下げ余地があることを発表。
その後のパウエルFRB議長の「ハト派」発言もあり、14日の東京時間でドル・円は一時140円97銭まで円が急伸。
輸出関連株中心に下げ幅を広げ、日経平均も32500円台まで下げた。
ただ、米金利低下を背景に、米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)が大幅高となったことから、東エレ (TYO:8035)、アドバン (TYO:6857)といった指数寄与度が高い銘柄が日経平均を下支え。
ドル・円の円高進行も一服となったことから、15日の東京市場は大型株を中心に買戻し優勢に。
33000円より上では、25日移動平均線が意識されて上値が重くなったものの、ドル・円が142円水準で推移しているわりには、日経平均はしっかりの展開となった。


■米金利低下は日本株にとって諸刃の剣


来週は、為替市場をにらんでの相場展開となりそうだ。
今週末の米国市場は、NYダウ、ナスダック総合指数が上昇した一方、S&P500は反落とまちまちとなったほか、大証ナイトセッションは、大阪比260円安の32630円で取引を終えた。
週初の東京市場は反落スタートとなりそうだが、その後は、18-19日の日銀金融政策決定会合に関心が向かい、様子見ムードが強まろう。
7日の国会答弁において、植田総裁は「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言。
植田日銀総裁は、単なる一般的な見解に過ぎず、「チャレンジング」に深い意味合いはなく使用したと推測されているが、前日の氷見野副総裁の発言で、市場が12月の日銀会合に対する「金融政策の正常化」への期待感を高めた矢先だったことから、為替市場では、円が主要通貨に対して全面高の展開となった。



11日には、賃金の堅調な伸びがデータで確認されるまで、金融政策の正常化は見送られる可能性が高いとの報道を受けて、今回の会合での「金融政策の正常化」期待はいったん収束した。
とはいえ、「チャレンジング」という表現は、日銀による意図的な「地ならし」という見方をする市場関係者は多い。
市場コンセンサスは「現状の金融政策の維持」となっているが、19日の15時30分から実施される植田日銀総裁の記者会見において「金融政策の正常化」を見据えた発言が出る可能性は十分にある。



そうなった場合、円は主要通貨に対して全面高の反応を示すだろう。
つまり、7日の為替市場に近い動きが入る可能性は十分想定しておきたい。
足元の日本株は、2022年2月頃から続く為替市場の円安効果が非常に大きかったことで、円安効果が今後期待できないとなれば、大型株を中心に弱い動きとなるだろう。
実際、米10年債利回りは、4.0%台を割り込んでおり、日米金利差縮小を材料にドル・円は円高に振れやすくなっている。
米金利低下は、NYダウやSOX指数の史上最高値更新の原動力となっている一方、ドル・円の円高要因にもなる。
まさに日本株にとっては諸刃の剣である。
2023年最後のビッグイベントを控えた東京市場は、日銀会合後の為替を起点とした乱高下に警戒となろう。


■ビッグイベント通過後は「掉尾の一振」へ


日銀会合のビッグイベントを通過した後は、例年通りの中小型株を中心とした年末ラリーに期待したい。
2024年から新しいNISA(小額投資非課税制度)制度がスタートすることもあり、現行NISA制度で残っている投資枠を使い切るために、配当利回りが高い大型株や優待銘柄などNISAで買われやすい銘柄に駆け込み需要が発生する可能性がある。
また、話題性が豊富な生成AI(人工知能)銘柄や、訪日外国人の急回復が確認できていることに伴うインバウンド銘柄、小売関連や海外旅行関連などの円高メリット銘柄、「金融政策の正常化」に伴う銀行株や保険株など金利メリット銘柄など、2024年も引き続き物色の対象となりそうなテーマ株は関心を高めておきたい。
年末にかけての上昇を意味する「掉尾の一振」を期待する投資家は多い。
今年はNISAの資金が向かいやすい銘柄が、「掉尾の一振」の中心銘柄となろう。


■日銀短観、米FOMC、米CPI、など


来週は、国内では18-19日に日銀金融政策決定会合が開催されるほか、22日に11月全国消費者物価指数(CPI)が発表される。
海外では、20日に英・11月CPI、米・7-9月期経常収支、米・11月中古住宅販売件数、米・12月コンファレンスボード消費者信頼感指数、21日に米・7-9月期国内総生産(GDP)、米・12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、22日に米・11月耐久財受注、米・11月個人消費支出(PCEデフレータ)、米・11月新築住宅販売件数の発表が予定されている。




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