[ニューヨーク 7日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが全面的に下落した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が7日、FRBが利下げに着手するために必要なインフレ低下に対する確信は「そう遠くない」将来に得られるとの考えを示した。
一方、欧州中央銀行(ECB)が7日、政策金利を予想通り据え置いたことを受け、ユーロは序盤に横ばいで推移。ただ、その後は上昇し、対ドルでは約1カ月ぶりの大幅な上げを記録。6週間ぶりの高値を付けた。
パウエル議長は上院銀行委員会の公聴会で行った証言で、「われわれは正しい位置にいる。インフレ率が持続的に(目標とする)2%に向かっていると確信が得られるのを待っている」と述べた。
パウエル議長は前日の下院金融サービス委員会の公聴会で、利下げ開始時期とそのペースは経済データのみに基づいて決定されると述べた。
バノックバーン・グローバル・フォレックス(ニューヨーク)のチーフ・マーケット・ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「パウエル議長の発言は前日よりもハト派的だったようだ」と指摘。投資家のリスク選好度が高まっていることもドルの重しになっていると述べた。
ユーロ/ドルは0.45%高の1.0944ドル。
ECBは年内の利下げに慎重な姿勢を示した。
ラガルドECB総裁は理事会後の記者会見で「(インフレ率の)明確な低下が進行中であり、インフレ目標に向けて順調に前進している。その結果、われわれはより自信を深めているが、十分ではない」と指摘。「今回の理事会では利下げについて議論しなかった」としながらも、「制約的なスタンスの縮小について討議し始めたところだ」と述べた。
CIBCの北米外為戦略部門の責任者、ビパン・ライ氏は、この議論は「ECBが刺激策を縮小する出発点に近づきつつある」ことを示唆しているとした。
また、アナリストによると、この日のユーロ高はユーロに対する投資家の姿勢に大きな変化があったというよりも、ドル安の影響が大きいという。
一方、日本円は対ドルで今年最大の上昇を記録。日本銀行が今月中にも利上げに踏み切るとの観測が高まった。
ドル/円は0.92%安の148.04円と1カ月超ぶりの安値を付けた。
日銀の中川順子審議委員は7日、島根県金融経済懇談会であいさつし、企業の賃金設定を巡る姿勢に明確な変化の兆しが見られるなど、経済・物価情勢は2%物価目標の実現に向けて「着実に歩を進めている」と述べた。
ポンド/ドルは0.58%上昇した。
暗号資産(仮想通貨)では、ビッtコインが1.8%高の6万7681ドルとなった。
ドル/円 NY終値 148.03/148.06
始値 147.84
高値 148.29
安値 147.59
ユーロ/ドル NY終値 1.0946/1.0950
始値 1.0893
高値 1.0949
安値 1.0869