*09:00JST テルアビブ市場の不透明感【フィスコ・コラム】
イスラエルがパレスチナから奇襲攻撃を受けて1年あまりが経過。
テルアビブ市場は活況が続くものの、戦闘の長期化で国内経済の減速が懸念されています。
宿敵イランとの緊張が高まるなか、国際社会から孤立する可能性もあり、先行きに不透明感を深めそうです。
イスラエルの代表的な株価指数TA35は過去最高値圏に浮上し、なお上昇基調を強めています。
この1年間でガザ地区やレバノンへの攻撃がエスカレートし泥沼化が見込まれても、株式相場は防衛関連銘柄主導で持ち直すケースが目立ちます。
株高・金利高のほか、通貨シェケルはドル買い地合いでもドルに対して底堅く推移。
戦争当事国でありながら、金融市場は好調さを維持していると言えます。
ただ、足元は戦闘の長期化が経済に影響し始めています。
10月15日に発表された第2四半期国内総生産(GDP)改定値は前期比年率+0.3%と、当初の+1.2%から下方修正されました。
消費者物価指数(CPI)は春先から上昇に転じ、イスラエル中銀は1月の利下げ後、2月から6会合連続で政策金利を据え置いたものの、利上げの可能性を示唆。
同中銀は同国の今年の成長予測を+1.5%から+0.5%に引き下げました。
格付け会社によるイスラエルの格付けが相次いでいます。
S&Pはイスラエルのソブリン格付けを従来の「A+」から「A」に変更したほか、ムーディーズも格付けを2段階引き下げ、見通しを「ネガティブ」に。
イスラエル政府は軍事費の増大をカバーするために国債の発行を増やしていますが、結果として国家の財政健全性を損なう恐れがあります。
戦闘長期化なら一段の格下げの可能性も指摘されます。
一方、イスラエルの軍事行動に対し、国際社会の視線が厳しさを増しています。
最近の現地報道によると、イスラエル軍が国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の監視塔を砲撃しました。
イスラエル軍は「親イラン民兵組織ヒズボラが近くから攻撃している」と複数回にわたるこの攻撃を正当化するものの、各国から非難が相次いでいます。
孤立化は経済活動の妨げになります。
イスラエルにとって、安全保障を脅かすハマスやヒズボラを弱体化させることが戦争の目的です。
ネタニヤフ政権がせいぜい40%程度の支持率を維持するためにも、強硬姿勢を示し続ける必要があります。
目下最大の懸念材料はイランとの直接対決。
核保有国とみられる両国の戦いには計り知れない恐怖がつきまといます。
市場の混乱がテルアビブから連鎖的に波及するのは言うまでもありません。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
テルアビブ市場は活況が続くものの、戦闘の長期化で国内経済の減速が懸念されています。
宿敵イランとの緊張が高まるなか、国際社会から孤立する可能性もあり、先行きに不透明感を深めそうです。
イスラエルの代表的な株価指数TA35は過去最高値圏に浮上し、なお上昇基調を強めています。
この1年間でガザ地区やレバノンへの攻撃がエスカレートし泥沼化が見込まれても、株式相場は防衛関連銘柄主導で持ち直すケースが目立ちます。
株高・金利高のほか、通貨シェケルはドル買い地合いでもドルに対して底堅く推移。
戦争当事国でありながら、金融市場は好調さを維持していると言えます。
ただ、足元は戦闘の長期化が経済に影響し始めています。
10月15日に発表された第2四半期国内総生産(GDP)改定値は前期比年率+0.3%と、当初の+1.2%から下方修正されました。
消費者物価指数(CPI)は春先から上昇に転じ、イスラエル中銀は1月の利下げ後、2月から6会合連続で政策金利を据え置いたものの、利上げの可能性を示唆。
同中銀は同国の今年の成長予測を+1.5%から+0.5%に引き下げました。
格付け会社によるイスラエルの格付けが相次いでいます。
S&Pはイスラエルのソブリン格付けを従来の「A+」から「A」に変更したほか、ムーディーズも格付けを2段階引き下げ、見通しを「ネガティブ」に。
イスラエル政府は軍事費の増大をカバーするために国債の発行を増やしていますが、結果として国家の財政健全性を損なう恐れがあります。
戦闘長期化なら一段の格下げの可能性も指摘されます。
一方、イスラエルの軍事行動に対し、国際社会の視線が厳しさを増しています。
最近の現地報道によると、イスラエル軍が国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の監視塔を砲撃しました。
イスラエル軍は「親イラン民兵組織ヒズボラが近くから攻撃している」と複数回にわたるこの攻撃を正当化するものの、各国から非難が相次いでいます。
孤立化は経済活動の妨げになります。
イスラエルにとって、安全保障を脅かすハマスやヒズボラを弱体化させることが戦争の目的です。
ネタニヤフ政権がせいぜい40%程度の支持率を維持するためにも、強硬姿勢を示し続ける必要があります。
目下最大の懸念材料はイランとの直接対決。
核保有国とみられる両国の戦いには計り知れない恐怖がつきまといます。
市場の混乱がテルアビブから連鎖的に波及するのは言うまでもありません。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。