イギリスの欧州連合(EU)離脱交渉入りのタイミングで、スコットランド独立の議論が再び浮上しています。
ただ、前回2014年9月の独立を問う住民投票で否決されてから2年半しか経っておらず、再選挙の実施は困難とみられます。
実際に独立する道はあるでしょうか。
前回の住民投票の結果は独立賛成45%、反対55%と、世論調査などの事前の予想よりは差が開いたものの、独立への期待は翌2015年5月のイギリス総選挙でスコットランド独立党(SNP)の大躍進につながりました。
昨年6月に行われたEU離脱の是非を問う国民投票では、スコットランドは62%がEU残留を支持。
これはウェールズ、イングランド、北アイルランドの3連合国を上回る数字です。
スコットランド行政府のスタージョン首相は、イギリスのEU離脱は「スコットランド住民の意思に反している」と指摘しており、3月13日の演説で、イギリス政府に独立の是非を問う住民投票を2018年秋から翌19年春をメドに実施することを求める意向を示しました。
しかし、住民の中には「スコットランド独立に賛成かつイギリスのEU離脱支持」派、逆に「スコットランド独立反対かつイギリスのEU残留支持」派もいて、スコットランド独立とイギリスのEU残留は必ずしもイコールではありません。
地元メディアの世論調査では、スコットランド住民の独立への熱意が次第に冷めてきている傾向もみられます。
スタージョン氏が2度目の住民投票の実施を急ぎ、独立に賛成する人が現実に減少していたら、SNPは存在意義を失ってしまうのではないでしょうか。
メイ首相がすでに不要との見解を示していることもあり、再選挙の実施は想定しにくい状況です。
一方、イギリス政府のリスボン条約50条行使の権限をメイ首相に与える法案が承認されました。
50条行使には地方議会の同意が必要となるようですが、スコットランドは同意に否定的です。
しかし、エネルギーや外交の分野で地方の同意は不要で、外交上の決断であるEU離脱を連合国は拒否できないとする考え方が有力です。
地方の不同意を突破口にイギリスのEU離脱を覆すことは不可能で、スコットランド独立は実際にはほとんど不可能と思われます。
スコットランドは、人口や面積、域内GDPなどで日本の北海道との共通点がよく指摘されますが、スコットランドには証券取引所がありません。
実は、スコティッシュ証券取引所は1973年にロンドン証券取引所に統合された後に廃止された経緯があります。
ところが、EU離脱を決めたイギリスの国民投票から1週間後の昨年7月、エディンバラを拠点とした取引所「スコテックス」を創設する案が急浮上しました。
札幌証券取引所のように上場企業数が60社もない規模ではお寒い限りですが、スコットランドには新規上場を望んでもできない地元企業が多数あるといわれています。
スコットランド生まれの企業が上場する「スコテックス」が活況となり、地元経済の発展に寄与するなら独立への道が開かれるかもしれません。
(吉池 威)
ただ、前回2014年9月の独立を問う住民投票で否決されてから2年半しか経っておらず、再選挙の実施は困難とみられます。
実際に独立する道はあるでしょうか。
前回の住民投票の結果は独立賛成45%、反対55%と、世論調査などの事前の予想よりは差が開いたものの、独立への期待は翌2015年5月のイギリス総選挙でスコットランド独立党(SNP)の大躍進につながりました。
昨年6月に行われたEU離脱の是非を問う国民投票では、スコットランドは62%がEU残留を支持。
これはウェールズ、イングランド、北アイルランドの3連合国を上回る数字です。
スコットランド行政府のスタージョン首相は、イギリスのEU離脱は「スコットランド住民の意思に反している」と指摘しており、3月13日の演説で、イギリス政府に独立の是非を問う住民投票を2018年秋から翌19年春をメドに実施することを求める意向を示しました。
しかし、住民の中には「スコットランド独立に賛成かつイギリスのEU離脱支持」派、逆に「スコットランド独立反対かつイギリスのEU残留支持」派もいて、スコットランド独立とイギリスのEU残留は必ずしもイコールではありません。
地元メディアの世論調査では、スコットランド住民の独立への熱意が次第に冷めてきている傾向もみられます。
スタージョン氏が2度目の住民投票の実施を急ぎ、独立に賛成する人が現実に減少していたら、SNPは存在意義を失ってしまうのではないでしょうか。
メイ首相がすでに不要との見解を示していることもあり、再選挙の実施は想定しにくい状況です。
一方、イギリス政府のリスボン条約50条行使の権限をメイ首相に与える法案が承認されました。
50条行使には地方議会の同意が必要となるようですが、スコットランドは同意に否定的です。
しかし、エネルギーや外交の分野で地方の同意は不要で、外交上の決断であるEU離脱を連合国は拒否できないとする考え方が有力です。
地方の不同意を突破口にイギリスのEU離脱を覆すことは不可能で、スコットランド独立は実際にはほとんど不可能と思われます。
スコットランドは、人口や面積、域内GDPなどで日本の北海道との共通点がよく指摘されますが、スコットランドには証券取引所がありません。
実は、スコティッシュ証券取引所は1973年にロンドン証券取引所に統合された後に廃止された経緯があります。
ところが、EU離脱を決めたイギリスの国民投票から1週間後の昨年7月、エディンバラを拠点とした取引所「スコテックス」を創設する案が急浮上しました。
札幌証券取引所のように上場企業数が60社もない規模ではお寒い限りですが、スコットランドには新規上場を望んでもできない地元企業が多数あるといわれています。
スコットランド生まれの企業が上場する「スコテックス」が活況となり、地元経済の発展に寄与するなら独立への道が開かれるかもしれません。
(吉池 威)