■ホットリンク (T:3680)の業績動向2. 事業別売上高の動向(1) SaaS事業SaaS事業の売上高は前年同期比37.8%減の243百万円となった。
「クチコミ@係長」は前年同期比横ばい水準で推移したものの、e-mining事業の譲渡により約1.5億円の減収要因となった。
なお、譲渡先であるリリーフサインは持分法適用関連会社(出資比率34%)となっており、2019年12月期第2四半期累計では持分法利益として12百万円を営業外で計上している。
「BuzzSpreader」についてはTwitterのデータ値上げに対応するためAPI機能の改良を行ったことでサービス開始時期が遅れ、売上への貢献はほとんどなかったが、対応もほぼ完了し2019年秋以降販売活動を再開する見込みとなっている。
現在はマーケティング担当者が行っている広告運用部分をAIで自動化すべく、開発を進めている段階にあり、2020年夏頃のリリースを目標にしている。
(2) ソリューション事業ソリューション事業の売上高は前年同期比20.7%増の1,022百万円となった。
このうち、国内におけるSNS広告/SNS運用コンサルティングサービスは同89.6%増の184百万円、契約件数で同77.7%増と大幅伸長した。
マーケティング及びセールス体制の強化に取り組んだことが売上増に貢献している。
一方、Effyisによる各種SNSデータアクセス権販売の売上高は同11.7%増の838百万円となり、計画比でも上回って推移した。
2018年以降、Facebookがデータ販売を中止したほか、Twitterが値上げを実施したことなどから、その他ソーシャルメディアのデータに対する需要が高まったことが追い風となった。
ただ、原価率の高いソーシャルメディアデータの需要が想定以上に伸びたことや、ミニマムギャランティーの計上等により損益面では減益となっている。
2018年のGDPR規則の適用開始に伴い、ソーシャルメディアデータを取り巻く市場環境も変化しており、Effyisにとってもネガティブ、ポジティブ両面の影響が出ている。
ネガティブな影響としては、原価率の高い一部のソーシャルメディアデータの売上構成比が上昇し、原価率の低い掲示板やスモールメディアデータの比率が低下したことでEffyisの収益性が低下したこと、また、販売面では顧客であるSaaS企業がデータアクセス権のコスト上昇などもあって収益が悪化し、廃業・倒産により解約数が増加したこと等が挙げられる。
一方、ポジティブな影響としてはFacebookのデータ販売中止やTwitterの値上げにより、Effyisが持つその他のソーシャルメディアデータの需要が増加したこと、また、個人情報管理の厳格化により、正規のデータアクセス権を保有するEffyisに対して、プラットフォーマーからの新規提携オファーが増加したこと等が挙げられる。
(3) クロスバウンド事業クロスバウンド事業の売上高は前年同期比62.2%増の372百万円と大幅増収となった。
訪日外国人や中国市場での消費行動を分析するレポーティングサービスが堅調を維持したことに加え、中国でのプロモーション支援サービス「トレンドPR」が好調に推移した。
ただ、一部案件の売上計上時期が7月にずれこんだことで計画比では若干未達となった。
「越境EC X」についてはまだ収益への影響はないものの、国慶節の11月商戦に向けて案件が増加する見込みで、2019年12月期下期からの利益貢献を見込んでいる。
なお、約45万店舗の在日ソーシャルバイヤーの販売活動を支援すべく、「微店」運営企業グループと共同で、「越境EC X」契約企業の商品を調達するための専用アプリ「World X」を開発、2019年5月にリリースした。
同アプリを利用することで、ソーシャルバイヤーは利用頻度に応じた仕入価格の割引や各種特典を受けられるほか、企業関係者と直接コミュニケーション機会を得るイベントに参加することも可能となり、ソーシャルバイヤーのモチベーションを喚起することで販売促進を図っていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)