■株式相場見通し予想レンジ:上限21500-下限20000円来週の日経平均は模様眺めムードが漂う中、上値を窺う展開も期待できそうだ。
全般は、FOMC、パウエルFRB議長会見、中国国家統計局製造業PMI、米1月雇用統計と金融・経済イベントが集中することから神経質な展開が見込まれる。
また、米中貿易摩擦の問題も好悪材料か交錯する中で出口はまだ見えず、世界経済への影響も警戒されている。
しかし、ここにきて日経平均、NYダウともに打たれ強さが増してきている。
日本電産 (T:6594)や米インテルの業績低迷に対して、株価は悪材料出尽くしのアク抜け感を示す動きを日米ともに示し始めた。
東京市場の場合は過度な為替相場の円高が進行しない限り下値耐性を強めている。
米予算案に絡んだ政府機関閉鎖の問題解決に前進が見られればNYダウに引き上げられる形で、取引時間中では昨年12月19日(終値では同18日)以来となる日経平均の21000円台回復への挑戦が期待される。
テクニカル的に見ても、相場上昇のニュアンスが芽生えている。
日経平均の日足チャートは、21日に5日移動平均線が25日移動平均線を上回って以降、下値を25日移動平均線が支えて上値を5日移動平均線が抑え込む形で煮詰まっていたが、25日に5日移動平均線を明確に上回ってきたことから、反転の途上と見ることができる。
一方、主要米国企業では現地時間29日にアップル、30日にフェイスブック、マイクロソフト、アリババ、31日にアマゾンが決算発表を迎える。
日本でも30日にNEC (T:6701)、31日にコマツ (T:6301)、ファナック (T:6954)、村田製 (T:6981)、任天堂 (T:7974)、1日にソニー (T:6758)、NTTドコモ (T:9437)が決算を発表し、物色的には業績相場の展開が強まることが予想される。
また、米アップルに自社株買い発表の期待があるように、国内企業にも日本電産 (T:6594)、東京建物 (T:8804)などに続く自社株買い発表企業が増えてくると大型株の戻りに弾みがつく可能性がある。
このほか、30日の終値で昨年12月上場のソフトバンク (T:9434)がTOPIX組入となる。
1月8日のMSCI採用時と同じく指数イベントの盛り上がりで公開価格1500円回復があれば、相場全体の投資マインドが好転するきっかけとなる。
主な国内経済関連スケジュールは、28日に12月19日、20日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨、30日に12月商業販売統計、31日に12月鉱工業生産、1月22日、23日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、2月1日に12月有効求人倍率・完全失業率、1月新車販売台数がそれぞれ発表される。
一方、米国を含む海外経済関連スケジュールでは、28日に米12月シカゴ連銀全米活動指数、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁発言、29日にFOMC(30日まで)、英議会のEU離脱代替案採決、米11月S&PコアロジックCS住宅価格指数、30日に米1月ADP雇用統計、米10-12月期GDP速報値、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長定例記者会見、米中閣僚級の貿易協議(31日まで、ワシントン)、31日にユーロ圏10-12月期GDP、米12月個人所得・個人支出、中国国家統計局製造業PMI、1日に米1月雇用統計、米1月ISM製造業景況指数がそれぞれ発表、予定されている。
なお、FOMCで政策金利は2.25−2.50%で据え置かれる見込みで、30日のパウエルFRB議長記者会見の内容が注目される。
また、29日に予定されるトランプ大統領の一般教書演説は政府機関の閉鎖協議次第となって日程は不透明だ。
■為替市場見通し来週のドル・円は上げ渋りか。
欧州経済の減速や欧州連合(EU)からの英国の離脱(ブレグジット)交渉を巡る不透明感から、欧州通貨売り・米ドル買いによるドル選好地合いは継続する可能性がある。
米政府機関の一時再開(2月15日まで)が決まったことは、ドル買い材料になりそうだが、29−30日開催の米連邦公開市場委員会で利上げペースやバランスシート縮小のペースを見直すことが議論される可能性があるため、市場参加者の間では「FOMC会合前にリスク選好的なドル買いが広がる可能性は低い」との声も聞かれている。
ブレグジットに関しては「合意なきEU離脱」への過度に悲観的な見方は薄れ、離脱延期の観測からポンド買いに振れている。
ただ、期待先行のためリスクも大きく、1月29日に予定されている議会採決で、ブレグジット合意代替案が否決された場合、リスク回避のポンド売りが再び強まる可能性がある。
そうした背景からドル選好地合いとなり、ドル・円は110円台を回復しても不自然ではないだろう。
ただ、今回のFOMC会合で利上げ休止または利上げ終了について議論された場合、米国金利の先高観は再び後退し、ドル売り・円買いが活発となる可能性もある。
市場関係者の多くは2019年に2回以上の利上げが行われる可能性は極めて低いと予想しており、米利上げペースの鈍化が改めて意識された場合、ドルの上値はやや重くなるとみられる。
■来週の注目スケジュール1月28日(月):中・工業利益、ユーロ圏マネーサプライ、米シカゴ連銀全米活動指数、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が講演など1月29日(火):米卸売在庫速報値、米FOMC、英離脱合意の代替案や野党・労働党が提出した「合意なき離脱」回避を目指す修正案を審議など1月30日(水):豪消費者物価指数、米ADP全米雇用報告、米GDP速報値など1月31日(木):鉱工業生産指数、住宅着工件数、中国PMIなど2月1日(金):日有効求人倍率、米雇用統計など2月3日(日):中国財新サービス業PMI・財新総合PMI