先週末に中国政府が米国に提示した米中貿易交渉の合意文書案で、中国側は全7章に修正を加え、これまでの交渉を白紙に戻すような内容だったと報じられた。
また、知的財産・企業秘密の保護、技術の強制移転、競争政策、金融サービス市場へのアクセス、為替操作の分野で、米国が強い不満を示していた問題を解決するために法律を改正するとの約束も撤回。
これを受けてトランプ大統領は週末ツイートで、10日に2000億ドル規模の中国製品に課す関税を25%に引き上げる方針を発表した。
一方で、中国政府は貿易協議で合意成立させる意向を米国に伝えており、交渉を指揮する副首相も9日からワシントンで開催される米中閣僚級貿易協議に参加する計画。
同時に、もし、米国が10日に関税を引き上げたとしたら、必要な報復措置ととると強い方針も示している。
トランプ大統領も中国との貿易協定が成立した場合、米国経済の成長をさらに支援するが、内容がよくない協定で合意するつもりもなく、中国製品に課す関税を25%に引き上げることにより国家財政も潤う。
景気が悪化し困るのは「中国」とし、どちらの結果でも満足するとの考えを示している。
JPモルガンのダイモンCEOは米国と中国が最終的に貿易協定合意する確率は90%と楽観的。
ゴールドマンサックスは最新の顧客向けレポートの中で、米国が2000億ドル規模の中国製品への関税を25%に引き上げる確率は60%と見ている。
ただ、残り3000億ドルに対する関税も引き上げる確率は25%と低い。
米中貿易協議がまとまらず貿易戦争の激化による最悪のシナリオで、S&P500種指数は10%ほどの下落が警戒されている。
中国の株式相場も8%から12%下落する可能性が指摘されている。
JPモルガンのレポートでは新たな関税が成長率を20ベーシスポイント下げ、インフレを引き上げると指摘。
インフレの上昇で、連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切らざるを得なくなるとの意見もある一方で、成長の鈍化で利下げに踏み切ると見解は依然分かれたままだ。
■GSのアナリストレポート米国が中国製品2000億ドルに課する関税を10%から25%に引き上げる確率:60%追加の3000億ドルに関税を課す確率:25%自動車関税の確率:10−20%