依然コロナ禍の最中にある世界経済であるが、コロナ後経済を展望する動きも出始めた。
マッキンゼーは「Could the next normal emerge from Asia?」で、新しいノーマルとして、(1)社会契約の再考、(2)未来の仕事と消費の定義、(3)リソースの迅速で大規模な動員、(4)グローバル化から地域化、を挙げる一方、エコノミスト誌の「The business of survival」は、(1)新しいテクノロジーの積極採用、(2)グローバルサプライチェーンの再構築、(3)大規模な政府と一部企業による寡占、という3つのトレンドを挙げた。
両者ともグローバルサプライチェーンを採り上げている点が興味深い。
マッキンゼーは「グローバル化から地域化」の中で、サプライチェーンの大規模な再構築の可能性を指摘した。
生産と調達は最終消費者に近づく可能性があり、企業はサプライチェーンを地域化することができるが、これはアジアで特に顕著になるとの見方を示した。
過去 10年間でアジアの貿易は域内貿易がほとんどを占めるようになったが、今後、企業は中国から他のアジア地域にサプライチェーンの移行を加速させる可能性があると指摘している。
一方、エコノミスト誌は、世界的にサプライチェーンが見直されることで、貿易戦争開始以来のシフトが加速すると指摘している。
国境を越える事業投資は今年30~40%減少する可能性があること、グローバル企業の収益性は低くなるだろうがより頑健になるという見方を提示している。
なお、「大規模な政府と一部企業による寡占」では、政府の現金が民間部門に氾濫し、大企業がさらに支配的になる可能性を挙げた。
より少ない競争、より遅い経済成長を意味することから、有権者、消費者、投資家はこのアイデアと闘うべきと主張している。
(株式会社フィスコ 中村孝也)