■業績動向1. 2019年11月期第3四半期累計業績の概要エクスモーション (T:4394)の2019年11月期第3四半期累計業績は、売上高で前年同期比17.8%増の704百万円、営業利益で同45.7%増の148百万円、経常利益で同44.5%増の151百万円、四半期純利益で同46.9%増の104百万円と2ケタ増収増益となり、通期計画に対する進捗率で見ても売上高で70.9%、各利益で80%を超えるなど順調に推移した。
また、第3四半期(2019年6月-8月)の業績についても売上高で前年同期比15.5%増の237百万円、営業利益で同248.1%増の51百万円と好調を持続した。
売上高については、コンサルティング要員の増員により、ホンダやSUBARU向けがCASE支援案件を中心に2ケタ増収と好調に推移したほか、自動二輪や半導体製造装置等の自動車業界以外の分野も堅調に推移した。
また、教育事業についても期初に受注した長期案件(2019年10月まで)が寄与して増収となった。
なお、主要顧客の1社であるネクスティエレクトロニクス(トヨタ)向けについては、2018年10月より自動運転の開発会社であるTRI-AD(トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント)との直接取引に移管したため減収となっている。
営業利益の増減要因を見ると、増収効果で48百万円、原価率の改善で9百万円の増益要因となり、販管費の増加10百万円を吸収する格好となった。
原価率の改善は好採算の教育事業が伸長したことによる。
また、販管費については、管理体制強化のための人件費やコンサルタント採用費等が増加要因となった。
営業利益率が前年同期の17.1%から21.1%に上昇したが、このうち原価率の改善で1.3ポイント、販管費率の改善で2.7ポイントとなっている。
受注状況は良好で、2019年11月期第3四半期末の受注残は前年同期比2.8%増の178百万円となった。
第2四半期末時点で同30.7%増の302百万円と積み上がってため伸びが鈍化したように見えるが、これは一部案件の売上が前倒し計上されたこと等が要因となっており、活発な引き合いが続いているとの認識に変わりない。
受注は引き続き活発で、2020年3月までコンサルティング要員のフルアサイン状態が続く2. 2019年11月期業績見通し2019年11月期業績は売上高で前期比19.1%増の993百万円、営業利益で同21.6%増の177百万円、経常利益で同22.7%増の179百万円、当期純利益で同22.7%増の121百万円と期初計画を据え置いている。
売上高は連続過去最高を更新、各利益は4期ぶりに最高益を更新する見通しだ。
計画達成に必要となる第4四半期の売上高は前年同期比22.2%増の288百万円となるが、2019年10月時点の受注額が970百万円と通期売上計画の97%に達していることから、クリア可能な水準と見られる。
また、営業利益については第4四半期で前年同期比35.7%減の28百万円が必要となる。
第4四半期は2019年11月に開催される「ET & IoT Technology 2019」(組込み総合技術展&IoT総合技術展)への出展のほか、人員増に対応した什器関連の購入等を計画しているが、第3四半期までの高進捗となっていることもあり、会社計画を上回るものと弊社では予想している。
コンサルティング事業については既存顧客からのサービス品質に対する評価が高く、既に2020年3月までの継続受注が入っているほか、新規受注の獲得も順調に進んでおり、2020年3月までコンサルティング要員はフルアサインの状態が続く見通しだ。
自動車業界に加えて、自動二輪や半導体製造装置業界からの新規受注も増えてきている。
レガシー再生支援分野(情報家電製品や住設機器等)については、既存顧客からの要望もあって2019年5月より新たに定額制コンサルティングサービスを開始しており、既存顧客3社に加えて、新たに新規顧客1社を獲得している。
同サービスは、プロジェクト終了後も技術的な相談・サポートを電話やメールで行うサービスとなる。
同社にとっては顧客との関係を継続することで、次のプロジェクトを受注する機会を増やす効果が期待できる。
なお、新規の1社についてはトライアルで定額制サービスから利用し、効果が期待できそうであれば本プロジェクトの受注につながる可能性があると言う。
また、スタートアップ企業向けのサービスについては、1社受注し2019年11月期第4四半期からコンサルティング支援を開始している。
製造業のスタートアップ企業は少ないものの、ベンチャーキャピタル等との協力体制を構築して受注獲得を目指していく。
民生機器や産業機器等を製造するスタートアップ企業は、試作品を製造する際に、品質に対する保守性や拡張性を考慮せずにソフトウェアを開発しているため、量産化が決まった場合は再度、品質面も含めてソフトウェアを見直す必要があり、結果、開発遅延につながると言ったケースが多くみられると言う。
量産化する前に、同社がコンサルティングを実施することにより、迅速かつ安全に量産用の組込みソフトウェアを開発することが可能となる。
そのほか、教育事業については2018年11月期の受注高18百万円に対して、2019年11月期は42~48百万円(うち、長期案件30百万円)に拡大する見込み。
長期案件については2019年10月で終了するものの、短期(1~2日)のトレーニングコースの受注増が見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)