*ドル高が続けば株式市場は調整へ。
*ディフェンシブセクターへの買いが続けば、広範な売り回避へ。
[ニューヨーク 22日 ロイター] 調整ムードが出始めている米国株式市場だが、23日から始まる今週は、景気変動の影響を受けにくいセクターに引き続き投資資金が流入すれば、市場全体の急落は避けられそうだ。
ここ数週間の原油安、ユーロ安でエネルギー株や多国籍企業が売られ、米国市場には調整圧力がかかっている。
ただ、公益企業や日用品メーカーなど景気サイクルの影響を受けにくいディフェンシブ銘柄、収益が安定している大型株は買われ、まだ広範囲な売りに発展していない。
こうした傾向はしばらく続きそうだ。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和第2弾(QE2)の終了が近づき、投資家のリスク感応度は高まっている。
Auerbach Grayson(ニューヨーク)のグローバル・テクニカル・ストラテジスト、リチャード・ロス氏は「相場が一服する十分な理由がある。ここで保守的になり、夏の調整を前に、より良い買い場のために若干キャッシュを確保するだけの理由はある」と指摘した。
<生活必需品関連銘柄に脚光>
調整がいつ起きてもおかしくないと考えるロス氏は、例年、5月から11月まで続く季節的な低迷局面にあって、バリュエーションがなお数年ぶりの高水準にあることに警告を発する。
S&P総合500種指数<.SPX>は過去2週間、年初来で6%高の水準の維持している。ハイテク株が売られる一方、ディフェンシブ株が買われているためだ。
ダウ工業株30種指数<.DJI>は年初来で8.1%高、ナスダック総合指数<.IXIC>も5.7%高となっている。
セクターからセクターへ循環物色が見られるなか、S&P500指数は1330─1340の狭いレンジにとどまっており、市場が方向感を失いつつあることを示唆している。テクニカルアナリストの大半は、市場が近いうちにこのレンジを上抜けるか、下抜けるかのどちらかとみている。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ロバート・スライマー氏は、景気敏感株の保有を減らし、ディフェンシブ株の保有を増やすよう推奨している。
スタンダード&プアーズ・エクイティ・ストラテジーは、ディフェンシブセクターの中でも生活必需品関連銘柄を推奨している。S&Pの生活必需品株指数は過去1週間で0.6%上昇した。
シーズン終盤となった企業決算発表は、S&P生活必需品株指数を構成するキャンベル・スープ
経済指標は、4月の新築1戸建て住宅販売、第1・四半期の国内総生産(GDP)改定値、5月のミシガン大消費者信頼感指数確報値などが予定されている。
Auerbach Graysonのロス氏は、コモディティとユーロが異例の調整局面に入っており、投資家はユーロ/ドルの動向を注視すべきと指摘。「ドル高が進めば、コモディティとS&Pに向かい風となる」と述べた。