[ニューヨーク 29日 ロイター] 30日から始まる週の米国株式市場は、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国の債務問題や米雇用統計、年末商戦の皮切りとなる「ブラック・フライデー」(黒字の金曜日)の売り上げ状況、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の再任をめぐる議会公聴会などに注目が集まる。
ドバイの債務問題が深刻化し、リスク回避の動きが拡大すれば、27日に続いて今週も相場の下落が予想される。
上院銀行委員会で3日に開かれるバーナンキFRB議長の再任をめぐる公聴会も材料視される可能性がある。
経済指標では、4日に発表される11月の雇用統計が大きな焦点。雇用者数の減少は10月よりも小幅になると予想されている。一方、現時点で明らかになっているデータによると、ブラック・フライデーの小売り各社の売り上げ状況は、消費者の不安を反映する内容となっている。
雇用市場と個人消費は米経済の中でも依然弱い部分であり、景気回復の妨げとなる恐れがある。逆に、これらの統計が強い内容となれば、株価上昇が期待できる。
ただ、ドバイ政府が前週、政府系持ち株会社ドバイ・ワールド[DBWLD.UL]と系列の不動産開発会社ナヒール[NAKHD.UL]の債権者に対し、数百億ドルの債務返済延期に同意するよう求めたことを受け、景気回復の道が平坦ではないことが浮き彫りになった。
この問題を受け、UAE中央銀行は29日、金融システムに流動性を供給する緊急措置を発表、アブダビはドバイの企業に一定の支援を提供する方針を明らかにしたが、アナリストはこれらについて、最低限の措置との見方を示している。
ドバイ問題によって米金融機関が大きな打撃を受けるとの懸念は27日の取引終了までに後退したものの、これらの金融機関が抱えるドバイへのエクスポージャーの大きさは明らかではない。
ウェドブッシュ・モルガンのシニアトレーダー、マイケル・ジェームズ氏は「上昇基調が12月も続くかどうかは、ドバイ・ワールドの問題が金融市場の健全性に対する懸念に発展するかどうかによってかなり左右される」と指摘し、「少なくとも米国ではそうした懸念は後退しているが、より詳しい情報が明らかになれば、警戒ムードが広がる可能性もある」と話した。
S&P総合500種<.SPX>は3月の12年ぶり安値水準から60%超上昇した後、11月は買い材料を模索する中、総じて横ばいとなっている。
米株式市場の歴史を見ると、12月は1年を通じて最もパフォーマンスの良い月の1つで、シェファーズ・インベストメント・リサーチのシニア・テクニカルストラテジスト、ライアン・デトリック氏は、今週株価が上昇すれば、年内も強気相場が期待できると指摘する。
一方、弱気筋の間では、米株式市場は3月よりも危険な状態にあるとの声が聞かれ、米債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)の最高経営責任者(CEO)は27日、株式やその他のリスク資産について、ドバイ・ワールドのデフォルト(債務不履行)の可能性をめぐる懸念が「機の熟しきった調整」のきっかけになるとの見方を示した。
29日に発表されたデータによると、今年のブラック・フライデーの週末は、低価格品を求める消費者が多く、支出額も落ち込み傾向となった。年末商戦幕開けの状況は、3日に発表される11月の小売り各社の既存店売上高によって、より明確になる見通し。
ロイター調査によると、11月の雇用統計は非農業部門雇用者数が13万人減と、10月の19万人減よりも小幅な減少にとどまり、失業率は前月と変わらず10.2%になるとみられている。
その他の指標では、11月のISM製造業・非製造業景気指数や、10月の住宅販売保留指数、11月の自動車販売台数、10月の製造業新規受注などにも注目が集まる。
金融危機前や危機下での対応をめぐり米議員の間でFRBへの批判が聞かれる中、3日のFRB議長再任公聴会では活発なやり取りが予想される。とはいえ、ドッド上院銀行委員長は10月、バーナンキ議長の再任に障害はないとの見方を示している。
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