自動車購入時に徴収される「車両購置税」(自動車取得税)について、その税収用途を巡る議論が中国で沸き起こっている。
交通運輸部がこのほど、「車両購置税」を港湾エリア鉄道建設費の補てんに一部を振り向ける決定を通知したことが事の発端だ。
同税は道路渋滞と大気汚染の緩和を目的に創設されたもの。
存在意義を揺るがしかねないとの反対意見が一部で上がっている。
V訊網が14日付で伝えた。
今回の通知で「車両購置税」の使途について交通運輸部は、「第13次5カ年計画(2016~20年)」の港湾インフラ整備に伴う鉄道建設費用に補てんすると説明している。
また、国家発展計画委員会によれば、中国の鉄道建設向け投資は16年の1年間だけで8000億人民元(約13兆3300億円)を超過した。
2016~20年の鉄道固定資産投資は年平均8100億人民元を維持すると予想される。
財政部の統計によると、「車両購置税」収入は16年の概算で2560億人民元。
自動車販売の拡大につれて、予算収入は大きく充足している。
大きな資金源といえそうだ。
「車両購置税」は長期にわたって、中国の交通インフラ整備事業の重要財源になってきた。
しかし鉄道建設費への充当に関して専門家は、「多少無理がある」との認識。
同税は自動車が使用するための道路整備と排ガス汚染対策の一環として導入されたものであるためだ。
道路整備向けの「専用資金」とは明確に定められていないものの、その本来の意義を堅持すべきだとの見方を示している。
その上で、「鉄道も交通の範疇にあるとはいえ、長期的にみれば車両購置税の効果と目的を発揮させる上で不利になる」と補足した。
一方、中国政府は昨年12月、排気量1600cc以下の「車両購置税」の減税措置を17年末まで延長すると発表。
当初は16年末日で終了する予定だったが、延長を求める業界の声に応えた。
ただ、減税幅は縮小され、税率が従来の5.0%から7.5%に引き上げられている。
中国汽車工業協会のデータによれば、中国の16年新車販売は前年比13.7%増の2802万8000台に達し、過去最高を記録した。
増加率は前年の4.7%から9.0ポイントも加速。
8年連続で世界最大の自動車市場となった。
【亜州IR】