Howard Schneider
[ワシントン 6日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のクック理事は6日、このところの米長期債利回りの上昇について、一段の利上げに対する市場の期待で引き起こされたものではないようにみえると述べた。
FRBは7月以降利上げを実施していないが、米10年債利回りは夏以降約1%ポイント上昇し、10月末には5%台に乗せた。その後は低下し、現在は4.64%近辺にある。
クック理事は米デューク大学での講演原稿で「目先の政策金利の上昇期待が長期金利の上昇を引き起こしているようにはみえない」と述べた。ただ、FRBの政策金利を巡る具体的な見解については触れなかった。
金融の安定性については、銀行システムは春に顕在化したストレスを乗り越え「全体として健全で回復力がある」と指摘。借り入れについては、家計と企業は全体的に良好な状態にあるとしながらも、金利が上昇する環境下で信用度が低い家計や企業にストレスが生じ始めている可能性があるとの見方を示した。
このほか、商業用不動産ローンの延滞が増加し、所有者に売却圧力がかかり始めれば、商業用不動産価格が急落する恐れがあると言及。オフィス需要は「依然として弱い」と述べた。
FRBは10月31日─11日1日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%で据え置くと決定。2会合連続での利上げ見送りとなった。
クック理事は、インフレ率をFRBが目標とする2%に戻すために現在の政策金利が適切であると望んでいると述べた。同時に「インフレ目標が達成されるよう、引き続き警戒していく」とも語った。