Timour Azhari
[バグダッド 10日 ロイター] - イラクのスダニ首相は9日、ロイターのインタビューに応じ、同国に駐留する米軍主導の有志連合軍について、秩序ある交渉に基づいた早期撤収を望むと述べた。米軍の存在が原因で、パレスチナ自治区ガザにおける戦争の余波がイラクに及びやすくなっているため。
イラク首相府は5日、有志連合軍を撤収させるための手続きに着手すると表明した。 スダニ氏は今回のインタビューで、初めて撤収についての具体的な考え方を示した。
同氏は「理解と対話のプロセス」の下で撤収について交渉すべきだと指摘。イラクでの攻撃が続かないよう、「早急な」撤収日程で合意したいとの考えを示した。
中東地域で紛争がエスカレートするのを防ぐには、ガザの停戦が「唯一の解決方法だ」とも述べた。イラクはこれまでイスラエルによるガザ地区への攻撃を激しく批判してきた。
イランには約2500人の米軍部隊が駐留しており、以前から親イランのシーア派を中心に撤収を求める声があった。イスラエルによるガザ攻撃開始以降、イラクの駐留米軍が親イラン組織から攻撃を受け、米軍が報復攻撃を繰り返しているため、撤収要求があらためて強まっている。
スダニ氏は、イラクはテロからの自衛体制が整い、領土に対する完全な主権を行使すべき時がきたと説明。「(米軍の)駐留を終わらせれば、国内と地域の安全保障問題を巡る、これ以上の緊張と紛糾を防げる」と語った。
一方で、米国は「われわれの敵ではない」とも述べ、米国と2国間関係を結び、米国を含む連合国と安全保障上について協力していくことに前向きな姿勢を示した。
米国防総省は8日、米軍撤収の計画はないと表明している。