[プーケット(タイ) 5日 ロイター] - タイ政府は、7月から新型コロナウイルスワクチン接種済みの外国人旅行客を隔離義務なしで受け入れる方針の南部リゾート地プーケットを対象に、他の地域に2カ月先行して市民のワクチン一斉接種を行う。
プーケットの人口の大半に当たる46万人以上の接種を目指している。同国は医療従事者や閣僚、高齢者を最優先の接種対象者としているものの、他の地域よりもプーケットを優先させる計画は、観光業の重要性を物語っている。
プーケットには国際空港があるため、外国人旅行客は現地の人たちを感染させる恐れなく自由にプーケット島の観光ができるようになる。
プーケット県のピヤポン・チューウォン副知事はロイターに「同島の人口の70─80%が免疫を獲得できれば接種済みの外国人旅行客を隔離の必要なく受け入れられる」と述べた。
タイではコロナ禍前に外国人旅行客による支出が国内総生産(GDP)の11─12%を占めていた。観光業界はコロナで壊滅的な打撃を受け、昨年以降、145万人の雇用が失われた。
2020年にタイを訪れた外国人旅行客は670万人で、支出は約110億ドルと、前年の約4000万人、610億ドルからそれぞれ大幅に減少した。
政府はプーケットで第3・四半期に10万人以上の旅行客を目指している。タイ全体では今年通年で外国人旅行客が約650万人となり、3500億バーツ(110億ドル)を支出すると期待している。
観光庁のユタサク・スパソン長官は「難しい課題だが、GDPにある程度は寄与する見込みだ」と述べ、「壊れたダムのように旅行客が流入するとは見込まないが、高額を支出する上流階層の訪問者を期待している」と述べた。