[東京 20日 ロイター] - 東京製鉄は20日、23年3月期の売上高見通しを3750億円から前年比35.1%増の3660億円へと下方修正した。単価下落の影響。営業利益は同29.0%増の410億円、純利益は同0.2%増の320億円で据え置いた。
IBESがまとめたアナリスト7人による通期営業利益の予想平均値は413億円だった。
会見した奈良暢明常務によると、鋼材の最大消費国である中国のゼロコロナ政策終了による需要回復で、第4・四半期の販売数量は前四半期比で2万6000トン増加し84万5000トンになると予想。一方で、商品単価は1トン当たり3100円ほど下落し、10万9400円になる。スクラップ価格は足元で若干下がっているものの、メタルスプレッドが4900円ほど悪化すると予想しているという。
来期に向けては、国内の建材需要は堅調な状況が続くとみている。海外も中国をはじめ需要の回復期待があるほか、輸出価格も「今が底」(奈良常務)とみている。電力会社から値上げ交渉の要請も来ているため、コストアップの懸念はあるが、その場合は「値戻しを検討していく」と話し、スクラップ価格の動向と合わせて注視していくとした。
2022年4─12月期(単独)は、売上高が前年同期比42.3%増の2723億円だった。奈良常務は、国内の建設関連の需要が堅調と説明。首都圏の再開発などの大型案件や物流倉庫の建設に加えて、製造業の国内回帰による投資の動きなど「足元の見積もりも増えている」と述べた。
営業利益は前年同期比46.2%増の331億円、純利益が同39.5%増の293億円だった。製品価格と主原料の鉄スクラップ価格との差である「メタルスプレッド」が拡大して利益を押し上げた。会社計画も上回った。
(浦中美穂)