[フランクフルト 7日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)銀行監督委員会のエンリア委員長は7日の欧州議会で、ユーロ圏の銀行に対して域内の不動産価格がさらに下落するリスクに備えるよう警告した。
欧州の不動産市場は、ECBによる急激かつ長期にわたる金融引き締めで重圧を受けている。過去10年間は、低金利やECBからの大量の流動性供給を追い風に、ドイツやフランス、オランダなどの不動産市場に膨大な資金が流れ込んでいた。
ただエンリア氏は、幾つかの国では既に不動産が値下がりしており、特にドイツでその流れが顕著だと指摘。「現在の金利上昇環境はオフィスと住宅の価格を一段と押し下げ、商業不動産オーナーや家計の債務返済がより難しくなりかねない。各銀行は引当金の計上や資本計画策定においてこのようなリスクを考慮に入れなければならない」と語った。
エンリア氏は年末で銀行監督委員長を退任し、ドイツ連邦銀行(中央銀行)のクラウディア・ブーフ副総裁が代わって就任する予定だ。