[2日 ロイター] - 米ニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)は2日、連邦準備理事会(FRB)の主要ファシリティーに大量のキャッシュが持続的に流入していることについて、昨年から変更された銀行の流動性規制が大きな要因とする報告書を公表した。
FRBのファシリティーはリバースレポと呼ばれる取引を提供しており、適格企業はリスクなしのリターンと引き換えにFRBに資金を置くことができる。資金流入に一役買っているのは補完的レバレッジ比率(SLR)と呼ばれる規制で、銀行が手元に置くべき流動性を決定するものだ。
SLRの基準は、新型コロナウイルス流行が最も深刻だった2020年に緩和され、21年3月末に厳しい基準に戻った。
報告書は「SLRの緩和期間が終了した後、各銀行は準備金や国債の保有を増やしてバランスシートを拡大する柔軟性が低下した」と指摘。これがリバースレポの主な利用者であるMMF(マネー・マーケット・ファンド)への波及効果をもたらし、リバースレポ・ファシリティーへの資金流入が急増した。
規制変更後、各行は預金を受け入れる意欲が薄れるとともにそのキャッシュがMMFに流れ、MMFはその資金を投資しなければならなくなったという。一方、各行は短期債のオファーを減らし、MMFが投資できる対象を制限した。その上、FRBの利上げにより金融市場で短期借入コストが変化したため、資金はMMFにさらに流れ込んだと報告書は指摘した。
FRBのリバースレポ制度は21年春までほとんど利用されなかったが、それ以降は資金流入が増加。流入額は9月末に2兆4260億ドルでピークに達した後にやや縮小し、2日時点の流入額は2兆0500億ドルとなった。