■今後の見通し
(2)中期経営計画について
ウィルグループ (T:6089)は、2017年3月期を初年度とする4カ年の中期経営計画「Will Vision 2020」を発表した。
基本方針としては、2020年3月期における「WILLビジョン」の達成を目指していく。
「WILLビジョン」とは、「Working(働く)」「Interesting(遊ぶ)」「Learning(学ぶ)」「Life(暮らす)」の各事業領域において、期待価値の高いブランディングカンパニーを創出し、各領域においてNo.1の存在になることを指している。
2020年3月期の業績目標としては、売上高で1,000億円、営業利益で40億円を掲げた。
2016年3月期実績と比較すると売上高で約2.2倍、営業利益で約2.8倍となり、年平均成長率で見れば売上高で22%、営業利益で29%と高成長を目指していく。
売上高1,000億円の内訳としては、主要3事業で700億円、その他の事業で300億円を想定している。
その他の事業では特に、介護人材派遣事業の伸びを見込んでいる。
同社では、今回の中期経営計画を達成していくうえでの重点戦略目標として以下の3点を挙げている。
a)現時点の主要3事業で業界No.1を目指す
セールスアウトソーシング事業、コールセンターアウトソーシング事業、ファクトリーアウトソーシング事業において、それぞれ業界No.1の売上規模を目指していく。
ファクトリーアウトソーシング事業に関しては市場の裾野が広いことから、食品製造業分野でNo.1を目指す格好となる。
目標を実現していくための戦略としては、同社グループの強みであるハイブリッド派遣による「インストアシェア拡大」、営業拠点の拡大や未開拓エリアへの進出による「エリア拡大」、アパレル、金融及び物流業界への進出、RPO(採用代行)事業の展開並びに相乗効果を見越したM&Aによる「関連事業領域の多角化」の3つの施策を推進していく方針だ。
営業拠点に関しては前期末の63拠点から2020年3月期には105拠点まで拡大していく計画となっている。
b)新たに3つの事業を柱として確立
主要3事業に加えて、今後大きな成長が見込まれる3つの事業を拡大していく。
具体的には「介護人材派遣事業」「インターネット・IoT分野における経営幹部の人材紹介事業(NET jinzai bankサービス)」「海外の人材サービス事業」となる。
なかでも、介護人材派遣事業については潜在需要が旺盛なことから、今後積極的に事業を拡大していく方針となっている。
厚生労働省の推計によれば、介護市場における人材の需給ギャップは年々拡大し、2025年度には37.7万人の人材が不足すると見ている。
これは業務内容と比較して得られる報酬が少ないことが要因の1つと考えられ、政府も介護分野の報酬を引き上げる施策を導入しているが、それでも全体の流れを変えるまでには至らないのが現状だ。
介護施設などの現場では介護士や介護ヘルパーの離職率も高く、新たな人材を採用するための穴埋め期間として、あるいは介護士等の業務負担を軽減するためのサポートスタッフとして、介護人材派遣サービスの需要が拡大していくことが予想される。
介護士等の資格を持っていても、フルタイムで働くのは厳しいが、パートタイムや短期での勤務であれば可能といった人材も多く、未経験者も含めてこうした人材を集め、介護施設等にサービス提供していく考えだ。
同社では今後2〜3年かけて営業拠点網を前期末の26拠点から50拠点まで拡大し、その後に拠点ごとの稼働率を高め、収益性を向上していく戦略だ。
収益性向上のポイントとなるのは稼働率の上昇と派遣スタッフの定着率の向上が挙げられる。
このうち定着率の向上については、ハイブリッド派遣の強みが活かせると同社では考えている。
フィールドサポーターを置くことで、派遣スタッフのフォローアップも常時可能となるためだ。
当面は先行投資期間となるため、利益面での寄与は期待できないものの、50拠点を超えてからは収益性も向上し、利益貢献度も大きくなるものと予想される。
また、「NET jinzai bank」サービスについては、インターネット、IoT分野のベンチャー企業が増加し、IPOを目指す企業が増える中で、経営幹部の人材紹介ニーズも強く、市場は追い風が吹いている。
同社の紹介実績も、2016年3月期で160人と前期比約6割増となっている。
同事業に関しては、キャリアコンサルタントの育成が重要と考えており、同人材の育成を進めながら事業を拡大していく考えだ。
海外の人材サービス事業に関しては、2011年に初進出して以降、M&Aによる展開を進めている。
今後も、ASEAN地域での市場拡大を目指すため、M&Aも継続して行っていく方針となっている。
c)人材サービス以外の事業分野で一定規模の事業を創出
中期経営計画後の成長を見据えて、人材サービス事業と親和性のある周辺事業領域において、ベンチャーキャピタル「ウィルグループファンド投資事業有限責任組合」を通じたベンチャー投資を行っていくほか、M&Aやマイナー出資、アライアンス、社内発の新規事業の創出などに取り組んでいく。
なお、「ウィルグループファンド投資事業有限責任組合」での投資額の上限は3億円としており、2016年3月までに6社の投資を実行している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
(2)中期経営計画について
ウィルグループ (T:6089)は、2017年3月期を初年度とする4カ年の中期経営計画「Will Vision 2020」を発表した。
基本方針としては、2020年3月期における「WILLビジョン」の達成を目指していく。
「WILLビジョン」とは、「Working(働く)」「Interesting(遊ぶ)」「Learning(学ぶ)」「Life(暮らす)」の各事業領域において、期待価値の高いブランディングカンパニーを創出し、各領域においてNo.1の存在になることを指している。
2020年3月期の業績目標としては、売上高で1,000億円、営業利益で40億円を掲げた。
2016年3月期実績と比較すると売上高で約2.2倍、営業利益で約2.8倍となり、年平均成長率で見れば売上高で22%、営業利益で29%と高成長を目指していく。
売上高1,000億円の内訳としては、主要3事業で700億円、その他の事業で300億円を想定している。
その他の事業では特に、介護人材派遣事業の伸びを見込んでいる。
同社では、今回の中期経営計画を達成していくうえでの重点戦略目標として以下の3点を挙げている。
a)現時点の主要3事業で業界No.1を目指す
セールスアウトソーシング事業、コールセンターアウトソーシング事業、ファクトリーアウトソーシング事業において、それぞれ業界No.1の売上規模を目指していく。
ファクトリーアウトソーシング事業に関しては市場の裾野が広いことから、食品製造業分野でNo.1を目指す格好となる。
目標を実現していくための戦略としては、同社グループの強みであるハイブリッド派遣による「インストアシェア拡大」、営業拠点の拡大や未開拓エリアへの進出による「エリア拡大」、アパレル、金融及び物流業界への進出、RPO(採用代行)事業の展開並びに相乗効果を見越したM&Aによる「関連事業領域の多角化」の3つの施策を推進していく方針だ。
営業拠点に関しては前期末の63拠点から2020年3月期には105拠点まで拡大していく計画となっている。
b)新たに3つの事業を柱として確立
主要3事業に加えて、今後大きな成長が見込まれる3つの事業を拡大していく。
具体的には「介護人材派遣事業」「インターネット・IoT分野における経営幹部の人材紹介事業(NET jinzai bankサービス)」「海外の人材サービス事業」となる。
なかでも、介護人材派遣事業については潜在需要が旺盛なことから、今後積極的に事業を拡大していく方針となっている。
厚生労働省の推計によれば、介護市場における人材の需給ギャップは年々拡大し、2025年度には37.7万人の人材が不足すると見ている。
これは業務内容と比較して得られる報酬が少ないことが要因の1つと考えられ、政府も介護分野の報酬を引き上げる施策を導入しているが、それでも全体の流れを変えるまでには至らないのが現状だ。
介護施設などの現場では介護士や介護ヘルパーの離職率も高く、新たな人材を採用するための穴埋め期間として、あるいは介護士等の業務負担を軽減するためのサポートスタッフとして、介護人材派遣サービスの需要が拡大していくことが予想される。
介護士等の資格を持っていても、フルタイムで働くのは厳しいが、パートタイムや短期での勤務であれば可能といった人材も多く、未経験者も含めてこうした人材を集め、介護施設等にサービス提供していく考えだ。
同社では今後2〜3年かけて営業拠点網を前期末の26拠点から50拠点まで拡大し、その後に拠点ごとの稼働率を高め、収益性を向上していく戦略だ。
収益性向上のポイントとなるのは稼働率の上昇と派遣スタッフの定着率の向上が挙げられる。
このうち定着率の向上については、ハイブリッド派遣の強みが活かせると同社では考えている。
フィールドサポーターを置くことで、派遣スタッフのフォローアップも常時可能となるためだ。
当面は先行投資期間となるため、利益面での寄与は期待できないものの、50拠点を超えてからは収益性も向上し、利益貢献度も大きくなるものと予想される。
また、「NET jinzai bank」サービスについては、インターネット、IoT分野のベンチャー企業が増加し、IPOを目指す企業が増える中で、経営幹部の人材紹介ニーズも強く、市場は追い風が吹いている。
同社の紹介実績も、2016年3月期で160人と前期比約6割増となっている。
同事業に関しては、キャリアコンサルタントの育成が重要と考えており、同人材の育成を進めながら事業を拡大していく考えだ。
海外の人材サービス事業に関しては、2011年に初進出して以降、M&Aによる展開を進めている。
今後も、ASEAN地域での市場拡大を目指すため、M&Aも継続して行っていく方針となっている。
c)人材サービス以外の事業分野で一定規模の事業を創出
中期経営計画後の成長を見据えて、人材サービス事業と親和性のある周辺事業領域において、ベンチャーキャピタル「ウィルグループファンド投資事業有限責任組合」を通じたベンチャー投資を行っていくほか、M&Aやマイナー出資、アライアンス、社内発の新規事業の創出などに取り組んでいく。
なお、「ウィルグループファンド投資事業有限責任組合」での投資額の上限は3億円としており、2016年3月までに6社の投資を実行している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)