〇方向感出ず、ポジション調整の動き目立つ〇
少々古い話だが、10日発表のデータから、2月に国内投資家が仏国債を大規模に売り越していたことが分かったとブルームバーグが伝えた。
規模は1兆5200億円、2005年以来の規模で、仏10年国債利回りは2月6日に1.16%まで上昇した(昨日は0.95%)。
2005年は仏国民投票で欧州憲法条約批准が拒否され、秋に若者中心に大暴動が発生した年。
今年は接近する大統領選への不透明感がリスク回避を誘っていると思われる。
市場の目先的な関心はシリア、北朝鮮情勢の緊迫に覆われているが、年明け以降、機関投資家のリスク回避行動が活発な様相を示す事例だ。
世界的にリスクだらけで、不透明感の強い相場につながっていると考えられる。
新年度(あるいは4-6月期)に入ってもその傾向が変わらず、国内だけでなく、海外投資家も同様の傾向にある。
財務省対外対内証券投資データで、3月に外国人投資家は1兆6872億円、3ヵ月連続売り越した。
国内勢も海外株を6907億円売り越しており、双方で縮小の波となっている。
10日の日経平均は日足で8日連続の陰線(寄付高→大引安)となった。
12年4月25日~5月16日の13営業日連続以来で、昨年4月25日~5月9日の7営業日連続(GWなど休みの期間に出易い)を上回った。
一見、日銀が支えているように思われがちだが、日銀は4日と6日に725億円ずつ買った(通常ETF分)のみ。
月7~8回、週に1-2回、1回700億円強のペースを維持している。
短期筋が仕掛けるが、後が続かない状況だ。
時期は分からないが、立て直しの動きは日米市場が中心になると考えられる。
昨日、最も下落したのはロシア株の2.62%、先週末も3%強下落しており、シリア問題での追加制裁議論などが警戒されているようだ。
テロは、ロシア地下鉄、スウェーデン、ノルウェー(未遂)、エジプトなどに拡散しており、グローバル分散投資には逆風が続くと見られる。
一時のメキシコ懸念は後退したが、トランプ政権の貿易枠組み調整は、中国、日本、ドイツの経済大国間で進められる見込みだ。
相対的に市場規模の小さい国々にはシワ寄せが行く可能性がある。
地政学リスクから原油相場が強含んでいるが、一本調子の上昇相場は想定し難く、世界的なインフレの波は遠退いていると考えられる。
消去法的に考えれば、流動性の高い日米市場の優先度が高くなろう。
昨日の東証空売り比率は41.5%。
このところ40%台の高水準が続いている。
売り残が目に見えて溜まった局面では、買戻し相場が見込まれるが、持続性は、やはりトランプ政権の動向と考えられる。
対北朝鮮政策、国内の減税、インフラ投資などの具体策、エネルギー政策の転換などの材料を待ち受ける展開が想定される。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/4/11号)