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BS11 Research Memo(3):独立系・無料放送のBS局。認知度向上と売上高拡大に強い相関関係

発行済 2017-06-02 15:25
更新済 2017-06-02 17:01
BS11 Research Memo(3):独立系・無料放送のBS局。認知度向上と売上高拡大に強い相関関係
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■会社概要

2. 事業モデルと収益構造
(1) 収入の構造
現在、日本では24社の衛星基幹放送事業者が31のBS放送チャンネルを提供している。
1事業者で複数のチャンネルを展開するケースもあるが、日本BS放送(BS11) (T:9414)は「BS11」の1局・1チャンネル体制だ。
BSのチャンネルには無料放送と有料放送があるが、同社は無料放送を行っている。
同社のほかには民放キー局系列の5社とTwellV、Dlifeのみが無料放送を行っている。
すなわち同社は、キー局系列に属さない独立系であることに加えて無料放送という2つの特徴を持ったBS放送局であると言える。


無料放送を行っている同社の収益構造は、地上波のテレビ局と同様、広告収入が基本となっている。
すなわち「広告枠」が同社の商品であるが、それらは、タイム枠(提供・持込・通信販売・ミニ枠)、スポット枠(純広告・通信販売)に細分類することができる。
同社の売上高内訳の開示上は、タイム収入、スポット収入、その他収入に分類されている。
2017年8月期第2四半期実績ではタイム収入が74.1%、スポット収入が23.9%、その他収入が2.0%となっている。
その他収入はアニメ製作委員会への出資に伴う配当金や番組販売による収入などだ。
収入別構成比はここ数年大きな変化はない。


収入源である広告枠の販売動向を左右するのは、認知度(視聴者によるBS各局及び番組についての認知度合い)で、両者には明確な相関関係が読み取れる。
この理由は、広告主がより高い効果を求めて、局認知や番組の視聴傾向を参考にしながら出稿先のBS局や番組を選定してくるためと考えられる。


同社の認知度は、キー局系列BS先行5社と比較してまだまだ低いと推察される。
しかし、戦略的な広報・宣伝活動をベースに同社の認知度は着実に向上しており、売上高の伸びとして明確に現れている。
2016年8月期の売上高は10,212百万円と100億円の大台に乗り、2017年8月期は12,000百万円を計画している。
キー局系列5社が14,000百万円~17,000百万円の水準にあるため、まだ伸びしろは大きいと言える。


(2) 費用の構造
BS放送局の特長は、放送衛星を通じて日本全国に電波を送ることができるため、地上局のネットワーク構築が不要な点にある。
それに対して地上波の放送局の場合は、各地に放送用電波塔を建設し中継基地等を経由して電波を届けることになるため、BS局には存在しないネットワーク維持費が原価に加わることになる。
両者の差は小さいように見えるが、実際には、放送コストで相当の差があるとみられる。


BS局と地上波局のコスト構造の違いは、商品である広告枠の価格の差にストレートに反映されることになる。
すなわち、広告単価がBS放送と地上波放送とでは10倍~20倍の差があると言われている。
しかし放送コストが低いため、広告単価がそれだけ低くてもBS放送局の利益率は地上波放送局のそれを上回っているとみられる。


重要なことは、BS放送の広告単価が地上波放送と比べて10~20分の1に固定されているわけではないということだ。
同社は主に半年ごとに広告単価の見直しを行っているが、同社の広告媒体としての価値向上を反映して毎回、広告単価の改定が続いている状況にある。


もう1つの特長は、費用が極めて安定的に推移しており、同社においてコストコントロールが厳格に行われているということだ。
2016年8月期実績までを見ると売上高売上原価率が低下を続けている。
2017年8月期は、前述の認知度向上や良質な番組作りという観点から先行投資として番組関連費用や広告関連費用(販管費の内訳)を増加させる計画だが(詳細は後述)、その裏側では費用対効果の測定・分析等のリスク管理策が行われており、過度な懸念は不要だと弊社では考えている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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