■要約
sMedio (T:3913)は、PCやスマートデバイス、TV、その他ポータブル機器に対する組込みソフトウェアの開発会社である。
2007年3月(前身のビデェイス株式会社)の設立当初はソフトウェア開発・販売による収益が主体であったが、現在はライセンス収入主体の事業になっている。
2016年8月発表の成長戦略で、同社は事業領域の見直しを行い、同社の強みとする 1)ワイヤレス接続の技術、 2)セキュリティ関係技術、を軸として、周辺のソリューションを直接の顧客(機器・OSメーカーや通信事業者など)に訴求するBtoBを含めた戦略(既存のBtoBtoCも継続する)にシフトした。
さらに2017年2月就任の岩本定則(いわもとさだのり)代表取締役社長のもとで、「デジタル・トランスフォーメーションを加速する」という新しい会社ミッションが掲げられた。
直近では、世界的なパソコン市場の縮小傾向によるライセンス・ロイヤリティ収入の減少に対して、新しい収益モデルの拡大を模索している。
8月10日、同社は2018年12月期第2四半期連結業績の発表を行った。
売上高は534百万円で前年同期比8.8%減、営業利益は29百万円(同31.3%減)、経常利益は29百万円(同31.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が12百万円(同29.4%増)であった。
また、期初計画比で見ると、売上高は76百万円の減(12.6%減)、営業利益は19百万円の増(201.2%増)であった。
売上高はソフトウェア搭載機器の出荷台数が前年同期を下回った影響が大きく、前年同期比51百万円の減収となった。
収益区分別にみると、ソフトウェア搭載機器の出荷台数が前年同期を下回ったことで、ロイヤリティ収入が前年同期比37百万円の減であった。
開発収入については、子会社タオソフトウェア(株)の開発案件の完成が第3四半期にずれ込んだ影響で前年同期比15百万円の減であった。
保守・サポート収入はタオソフトウェアの貢献で前年同期比5百万円の増であった。
売上高全体の落ち込みにより売上総利益が40百万円減少したが、のれん償却費負担の減少7百万円、前年同期の本社移転関連費用16百万円のはく落等により、営業利益は前年同期比13百万円減の29百万円にとどまった。
営業利益・経常利益が計画比で改善となった要因は、開発人員の採用が一部第3四半期にずれ込んだことによる人件費増加幅の縮小や、旅費交通費などの経費節減に努めたことによるものである。
2018年12月期の連結業績予想は年初計画どおりで、売上高が1,134百万円で前期比7.4%増、営業利益が18百万円(前期は60百万円の営業損失)、経常利益が14百万円(前期は61百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が6百万円(前期は141百万円の純損失)の見通しである。
第2四半期実績では前年同期比、計画比とも減収であったが、第3四半期へ計上期ずれとなった案件のリカバーも含め、開発収入とサブスクリプション収入による増収効果と販管費の節減等で通期達成及び黒字転換を目指す。
同社では、2018年12月期については業績回復を図る1年として位置付けており、まずは最終黒字を確保することが目標となる。
売上高についてはやや不透明な部分があるものの、利益指標については第2四半期時点で既に通期計画の指標値を上回り、下期の経費等のコントロールも可能な範囲と考える。
したがって、通期計画の達成についてはおおむね問題なく、特に利益指標は超過達成の可能性が高いものと弊社では予想する。
2018年12月期の重点施策・成長戦略の推進状況はおおむね順調であり、同社のAI技術を活用した多くの案件の実証実験などが進行中である。
これらの案件の今後の横展開次第で新しい収益モデルの拡大が可能となる。
■Key Points
・2018年12月期第2四半期決算はロイヤリティ収入の低迷などで減収・営業減益も計画比で利益改善
・2018年12月期通期予想は年初計画どおりで、増収増益・黒字転換を目指す
・新収益モデルの拡大に向けて、AI技術を活用した実証実験など各施策が順調に進行
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田 秀樹)
sMedio (T:3913)は、PCやスマートデバイス、TV、その他ポータブル機器に対する組込みソフトウェアの開発会社である。
2007年3月(前身のビデェイス株式会社)の設立当初はソフトウェア開発・販売による収益が主体であったが、現在はライセンス収入主体の事業になっている。
2016年8月発表の成長戦略で、同社は事業領域の見直しを行い、同社の強みとする 1)ワイヤレス接続の技術、 2)セキュリティ関係技術、を軸として、周辺のソリューションを直接の顧客(機器・OSメーカーや通信事業者など)に訴求するBtoBを含めた戦略(既存のBtoBtoCも継続する)にシフトした。
さらに2017年2月就任の岩本定則(いわもとさだのり)代表取締役社長のもとで、「デジタル・トランスフォーメーションを加速する」という新しい会社ミッションが掲げられた。
直近では、世界的なパソコン市場の縮小傾向によるライセンス・ロイヤリティ収入の減少に対して、新しい収益モデルの拡大を模索している。
8月10日、同社は2018年12月期第2四半期連結業績の発表を行った。
売上高は534百万円で前年同期比8.8%減、営業利益は29百万円(同31.3%減)、経常利益は29百万円(同31.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が12百万円(同29.4%増)であった。
また、期初計画比で見ると、売上高は76百万円の減(12.6%減)、営業利益は19百万円の増(201.2%増)であった。
売上高はソフトウェア搭載機器の出荷台数が前年同期を下回った影響が大きく、前年同期比51百万円の減収となった。
収益区分別にみると、ソフトウェア搭載機器の出荷台数が前年同期を下回ったことで、ロイヤリティ収入が前年同期比37百万円の減であった。
開発収入については、子会社タオソフトウェア(株)の開発案件の完成が第3四半期にずれ込んだ影響で前年同期比15百万円の減であった。
保守・サポート収入はタオソフトウェアの貢献で前年同期比5百万円の増であった。
売上高全体の落ち込みにより売上総利益が40百万円減少したが、のれん償却費負担の減少7百万円、前年同期の本社移転関連費用16百万円のはく落等により、営業利益は前年同期比13百万円減の29百万円にとどまった。
営業利益・経常利益が計画比で改善となった要因は、開発人員の採用が一部第3四半期にずれ込んだことによる人件費増加幅の縮小や、旅費交通費などの経費節減に努めたことによるものである。
2018年12月期の連結業績予想は年初計画どおりで、売上高が1,134百万円で前期比7.4%増、営業利益が18百万円(前期は60百万円の営業損失)、経常利益が14百万円(前期は61百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が6百万円(前期は141百万円の純損失)の見通しである。
第2四半期実績では前年同期比、計画比とも減収であったが、第3四半期へ計上期ずれとなった案件のリカバーも含め、開発収入とサブスクリプション収入による増収効果と販管費の節減等で通期達成及び黒字転換を目指す。
同社では、2018年12月期については業績回復を図る1年として位置付けており、まずは最終黒字を確保することが目標となる。
売上高についてはやや不透明な部分があるものの、利益指標については第2四半期時点で既に通期計画の指標値を上回り、下期の経費等のコントロールも可能な範囲と考える。
したがって、通期計画の達成についてはおおむね問題なく、特に利益指標は超過達成の可能性が高いものと弊社では予想する。
2018年12月期の重点施策・成長戦略の推進状況はおおむね順調であり、同社のAI技術を活用した多くの案件の実証実験などが進行中である。
これらの案件の今後の横展開次第で新しい収益モデルの拡大が可能となる。
■Key Points
・2018年12月期第2四半期決算はロイヤリティ収入の低迷などで減収・営業減益も計画比で利益改善
・2018年12月期通期予想は年初計画どおりで、増収増益・黒字転換を目指す
・新収益モデルの拡大に向けて、AI技術を活用した実証実験など各施策が順調に進行
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田 秀樹)