■業績動向1. 2018年12月期の業績概要ALBERT (T:3906)の2018年12月期の売上高は前期比87.0%増の1,630百万円、営業利益は201百万円(前期は161百万円の損失)、経常利益は199百万円(同158百万円の損失)、当期純利益は248百万円(同172百万円の損失)と4期ぶりの黒字転換となり、過去最高業績も一気に更新する好決算となった。
同社が期初に掲げた基本戦略(体制の改編、ケーパビリティの確保、重点産業・顧客のスコープ)に取り組んだ効果が収益面で早速、顕在化した格好だ。
売上高はトヨタ自動車やKDDI、東京海上日動火災保険などとの資本業務提携を行い、これら顧客との取引深耕が進んだほか、その他企業からのプロジェクト受注も好調に推移したことが大幅増収につながった。
受注拡大に対応するために、データサイエンティストの増員が順調に進んだことも売上増要因となっている(2017年12月末75名→2018年12月末154名)。
なかでも、KDDI向けについては2018年8月よりAI・高性能チャットボットサービス「スグレス」を、KDDIの法人向けクラウドサービス「スグレス with KDDI」として提供、販売を開始したことも増収に寄与した。
営業利益率は前期の-18.5%から12.3%と大きく改善した。
データサイエンティストの増員に伴う人件費増や、サテライトオフィス契約(2018年7月~)、2019年1月の本社移転に掛かるコスト増(二重家賃、原状回復費、消耗品等)などがあったものの増収効果で吸収した。
売上原価率で見ると前期の40.8%から38.9%に低下した。
データサイエンティストの配置転換(プロダクトサービスの研究開発からプロジェクトサービスの実働要員に)を実施したことで、労務費率は前期比1.5ポイント上昇したが、逆に外注費率が同2.4ポイント低下し、売上原価率の改善要因となった。
データサイエンティストの内部稼働率が前期の約52%から約75%まで上昇し、収益率の向上につながっている。
なお、当期純利益の増益幅が経常利益を上回っているが、これは繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、繰延税金資産71百万円を計上(税負担の減少)したことが要因となっている。
四半期別の業績推移を見ると、2018年12月期第3四半期以降、売上成長に拍車が掛かっている。
産業別売上構成比で見ると、自動車、通信、金融などの構成比が上昇しており、資本業務提携した大手企業からのプロジェクト受注が増加したことが要因と考えられる。
四半期別売上総利益率の推移を見ると、2018年12月期の第3四半期に60.5%と前四半期の63.2%から低下したが、これは協業先のテクノプロからの派遣を受け入れるため、サテライトオフィスを賃借したことが要因となっており、第4四半期には61.9%と上昇に転じている。
また、第4四半期の営業利益が60百万円と第3四半期の113百万円から落ち込んだが、これは2019年1月の本社移転に関連した一時的な費用増(二重家賃、原状回復費、消耗品等)や、業績回復に伴う一時的な人件費増(賞与金等の増加)が要因となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)