エアバスの株価はヨーロッパ市場の9日午前の取引で2.0%下落した。EUがエアバスに不当な助成金を補助しているとして、米国政府はEUからの輸入品に110億ドル相当の関税を課すとみられる。
新たな貿易戦争の脅威により株式市場は最初下落したが、上昇に転じはじめている。日本時間午後5時15分、ストックス600は0.1%高の387.82となった。ドイツのDAXは0.2%安となったが、フランスのCAC 40は0.1%高で7ヵ月ぶりの高値となった。
エアバスは今後20年間で確実な成長が見込まれているワイドボディ機の複占企業として、今年も過去最高の業績を記録した。
2社で市場を独占している場合は、一方の業績悪化がもう一方の業績上昇につながる。ボーイング737MAX機の人為事故により、エアバスのニーズは拡大してきた。(2009年にエアバスA330機で事故が起きた際には反対にボーイングの業績が回復した)
ボーイング(NYSE:BA)にとっては厳しい局面が続いている。中国は737MAX機問題を理由としてエアバスに大口発注を依頼した。ボーイングでの契約が取れなかったことは米国全体にとって大きな痛手となった。
8日に737機の生産量を5分の1近く削減すると発表したのち、ボーイング株は4.4%以上下落した。
トランプ政権によるEU製品への反発がボーイングを後援していることは明らかだ。このタイミングは決して偶然ではないとみられる。
この流れがどこに帰着するかはまた別の問題だ。双方は、14年間にわたりWTOを舞台に互いに訴訟を起こしてきた。
双方ともエアバスが下落するとの見方はしないだろう。2社間のパワーバランスのシフトが世界の飛行機バイヤーにとって朗報になるか否かは定かではない。
トランプ米大統領が来年再選される可能性に伴って経済リスクは上昇している。確実なのは、米国が新たに設定する関税をEUが看過しないだだろうということだ。