FRBの利下げ示唆や、10日に予定されていた米・メキシコ関税の延期が検討されているといった報道により米国株式は続伸している。これらの発言は6日の原油市場への好材料となった。
また、本日発表される非農業部門雇用者数が予想を下回る場合は、利下げ観測が高まり株価を支えるだろう。
同様に、平均時給の伸びが予想を下回る場合も株式市場にとっては好材料になる可能性がある。
CMEグループが算出しているFedWatchtツールを参照すると、市場はFOMCの7月会合後に0.25%利下げされる確率を約70%、9月会合後に0.5%利下げされる確率を50%超と織り込んでいる。
ただし0.5%という大幅な利下げが行われるのかどうかは疑問だ。
年末までに1.0%の利下げが行われる確率は15%と予想されている。
本日の米国株式市場で注目の3ポイントは以下の通りだ。
1. 米雇用統計
7日午後9時30分に発表される5月米非農業部門雇用者数により、経済の力強さやドル、米国債、金の動向が読み取れるだろう。
5月米非農業部門雇用者数は約18万5000人増、5月米失業率は先月と同じく3.6%と予想されている。
ただし非農業部門雇用者数をより多く見積もる向きもある。
Grant ThorntonチーフエコノミストのDiane Swonk氏は、「5月米非農業部門雇用者数は27万人になると予想される。今年は国勢調査前年のため、4月や5月に国勢調査局による雇用が増大すると見られる」と指摘している。
FRBが5日公表したベージュブックによると、賃金(米平均時給)の伸びは「緩やか」で、月次ベースで0.3%上昇、年次ベースで3.2%上昇した。
2. 米石油リグ稼働数
8日午前2時00分にベーカー・ヒューズ社が米石油採掘装置(リグ)稼働数を発表する。
先週発表されたデータによると、米石油リグは3基増加して800基となった。
週次米石油リグ稼働数は、需給情報を代弁するバロメータとして原油業者に重宝されている。
7日午後4時15分時点で7月限WTI原油先物は1.58%高の53.42ドル。
EIAが5日発表したところでは、原油在庫量は2017年7月ぶりの高水準にある。原油生産量は過去最高の日量1240万バレルとなった。
夏に向けガソリン需要が高まるにも関わらず、原油在庫は積み増しされている。
Tudor Pickeringのアナリストは「米原油在庫量は680万バレルに迫り2017年7月以来の高水準となっている。実質輸入量が年間およそ140万バレル減少し、製油所稼働率も低下しているにも関わらず原油在庫は積み増しされている」と指摘している。
3. カナダ雇用者数、失業率
5月カナダ雇用者数は7日午後9時30分に発表される。昨年第4四半期から今年第1四半期にかけて景気が後退したものの、今後は回復するというカナダ銀行の見通しの裏付けになるか注目が集まる。
5月カナダ雇用者数は10万6500人増となった4月からさらに8000人を加える見通し。5月カナダ失業率は5.7%で前月から横ばいの見通し。
これらの経済指標で米ドル/カナダドルも変動するだろう。
同ペアは、原油価格下落やカナダ銀行の金利が据え置きされる中安定して推移している。