昨日の米国株式市場は、ドラギECB総裁発言、米中貿易協議進展のニュースで主要3指数が揃って大きく上昇した。ドラギ総裁の「追加の刺激策が必要」との踏み込んだ発言は、マーケットも予想していなかったが、市場はこれを好感し、株式市場は上昇した。ZEW景気期待指数が予想外に大きく落ち込み、欧州経済減速のリスクが高まったが、ドラギ発言はそのニュースを脇に押しやった。そして夜にはG20での米中首脳会談開催決定とのトランプ砲がツイッターで発信され、株価はさらに上昇していった。19日から協議が再開されるが、主張の隔たりは大きく合意できるかは未だ不透明だ。
明日未明にはFOMCの声明が発表される。パウエルFRB議長の記者会見と合わせて、金融緩和にどの程度踏み込んだ発言をするかが焦点となる。米国政策金利モニターツールによると今回のFOMCでの利下げは2割強しか予想されていないが、次回FOMCでは8割が利下げを予想している。ドラギ発言の後でもあり、パウエル議長の「市場との対話」ぶりに注目が集まる。
欧州、米国が金融緩和のリップサービスを繰り出す中、日銀も本日から金融政策決定会合が行われる。今朝発表された日本の輸出は-7.8%と落ち込み、景気悪化につながる指標が日本でも出始めている。黒田総裁が何らかのリップサービスをしないと円高が大きく進みかねないため、会見でどのようなメッセージを送るのかは注目だ。記者会見等は明日予定されている。
米10年債利回りは昨夜2.016%まで低下した後、午前11時33分時点で2.068%まで回復している。ドル/円は上値が重く108.50円となっている。上海総合株価指数は1.21%高、ドル/人民元 は0.07%高、ドル/ウォンは0.35%高で推移している。
欧米市場の株高を受け、日経平均は2万1313円と大きく上昇している。後場の日経平均はFOMC前だけに様子見姿勢が強まる可能性が高い。大きく動くとすれば明日であろう。
ダウ平均の終値は史上最高値更新まで500ドルを切っている。FRBもECBも実際に金融緩和をしたわけではなく、米中貿易協議の合意があったわけでもないのに、この位置だ。G20 までは要人発言で相場は揺れ動く可能性があるが、「噂で買って事実で売る」という相場の格言は頭に入れておく必要はあるだろう。