■業績見通し2019年12月期の業績予想※についてケネディクス (T:4321)は、期初予想を据え置き、営業総利益を前期比0.4%増の22,100百万円、営業利益を同0.6%増の14,600百万円、経常利益を同6.9%増の14,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同18.1%減の10,100百万円と見込んでいる。
業績の伸びは一旦緩やかになるものの、安定収益を軸として高い業績水準が継続するという見方が妥当である。
※同社はアセットマネジメント事業を中心に安定的な収益基盤を有しているが、不動産投資事業については、経済環境や不動産市場等の影響を大きく受ける状況にあり、現状では予測が困難であるため、営業収益の予想を公表していない。
営業総利益は、不動産投資事業が前期からの物件売却に伴う賃貸事業損益の一時的な減少等により減益となるものの、アセットマネジメントフィーを中心とした安定収益の増加によりカバーすることで増益を確保する見通しである。
また、販管費を前期と同水準にコントロールすることにより、経常利益までの段階利益では増益を見込んでいる。
一方、親会社株主に帰属する当期純利益が減益となるのは、前期における特殊要因(物件売却上振れの影響等)のはく落や法人税等の増加が理由であり、業績トレンドの後退を示すものではない。
損益予想の全体を俯瞰すると、「ベース利益」はアセットマネジメントフィーなどの安定収益を軸として前期比15.9%増の5,000百万円に拡大する一方、「不動産投資損益」は前期における特殊要因のはく落や物件売却の一巡により同24.4%減の8,900百万円に減少する格好となっている。
ただし、注目すべきは、同社が目指している「AUM拡大による安定収益の持続的な成長」が実現しているところである。
また、「不動産投資損益」についても、目標投資リターンである単体自己資本(約890億円)の10%程度を確保する想定となっており、業績の伸びは一旦緩やかになるものの、「ケネディクスモデル」は引き続き順調に進展するものと評価することができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)