[30日 ロイター] - 中国株式市場は下落。トランプ米政権が、米市場に上場する中国企業の上場廃止を検討しているとの報道を受け、米中通商摩擦が一段と激化するとの懸念が高まり、約1カ月ぶり安値を付けた。
深セン総合指数 (SZSC)は1.1%安。新興企業向け市場のチャイネクスト総合指数 (CNT)は1.2%下落した。
2人の関係筋によると、トランプ政権は、米国の中国企業への投資を制限する取り組みの一環で、中国企業の上場廃止を検討。中国企業の活動に関して、政権内で安全保障面の懸念が高まっているという。
中信証券のアナリストは、米国政府が年金基金や中国への投資に直接介入することは、人民元建て資産に投資する海外資金のトレンドに影響を及ぼすだけでなく、米国の投資家および資本市場の長期的な利益への打撃となる、と指摘した。
米ナスダック (O:NDAQ)は、上場ルールの変更や承認手続きを遅らせるなどして、中国の中小企業の新規株式公開(IPO)を実質的に制限している、との指摘も出ている。
9月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、官民ともに改善した。ただ、 財新/マークイットの製造業PMIが好不況の節目を上回り、1年7カ月ぶりの高水準を記録したのに対し、国家統計局発表のPMIは5カ月連続で節目の50を下回った。
中国本土の金融市場は国慶節の連休に伴い、10月1─7日は休場となる。
香港株式市場は上昇。新規上場したビール大手ABインベブ (BR:ABI)のアジア太平洋子会社が急伸した。
ただ、香港の抗議デモや米中貿易戦争を背景に四半期ベースでは4年ぶりの大幅安となった。
シドニー株式市場は反落。幅広く利下げが予想されているオーストラリア準備銀行(RBA)のあすの金融政策決定会合を控え、金融株が下落したほか、鉱業株の取引終盤での売りに圧迫された。
4大銀行は0.4%─0.9%安。
取引は薄かった。まちまちだった中国指標や、米政権が中国企業の米株式市場からの上場廃止を検討しているとのニュースを受けて、投資家はおおむね慎重だった。
CMCマーケッツのアナリスト、マーガレット・ヤン氏は、「中国企業が上場廃止となる可能性は、現時点ではなおも低い。米資本市場に与える悪影響のほうが、貿易協議で得られるかもしれない利点より大きい」と語った。
石油大手ウッドサイド・ペトロリアム (AX:WPL)は1.1%高。クレディ・スイスがウッドサイド株価の上振れを予想したことを好感した。
ソウル株式市場は反発。予想を上回った中国製造業PMI(購買担当者景況指数)などを受けた。米政権が中国企業の米株式市場からの上場廃止を検討しているとの報道は、材料視されなかった。
KB証券のアナリストは、米政権による中国企業の上場廃止検討報道について、貿易協議を優位に進めるための戦術的なものとの見方を示した。
サムスン電子 (KS:005930)は1.34%高。KDDIと次世代通信規格5G関連設備の供給契約を結んだことを好感した。 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20190930T103448+0000