EUと英国のブレグジット協定案合意を受けて、木曜日の米株式市場は主要3指数揃って小幅に上昇した。ジョンソン英首相とユンケルEU委員長は共同で記者会見し、バックストップ条項(北アイルランド国境に検問所等を設置しない)削除や北アイルランド議会の同意権などが加わった。メイ前首相のまとめた合意案に上記の変更を加えた形だが、焦点のバックストップ条項削除が盛り込まれたのは大きいといえる。ただし、DUP(民主統一党)や労働党は反対を表明し、英議会で承認されるかは不透明だ。株価も合意直後は大きく上昇したが、時間が経つにつれ、議会承認への懸念から値を下げた。一時は27100ドル台にのせていたダウ平均株価は27025.88ドルで終了している。
また米国の働きかけでトルコがシリアへのクルド人への攻撃を5日間停止したのも好感された。
決算発表ではモルガン・スタンレー (NYSE:MS)が市場予想を上回る決算を発表し、契約者数が予想以上に伸びたネットフリックス (NASDAQ:NFLX)とともに株価を牽引した。逆にIBM (NYSE:IBM)は市場予想を下回り下落している。セクター別ではヘルスケア、不動産、コミュニケーション・サービスなどが上昇している。
経済指標では原油在庫量が928.1万バレルと大幅に上昇。建築許可件数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数、鉱工業生産はどれも市場予想を下回り、米経済への懸念が高まった。
米10年債利回りは1.750%と上昇し、ドル/円は108.56円となっている。日経225先物は2万2510円と50円高で終了している。ドル/オフショア人民元は7.0813、ドル/ウォンは0.04%高の1,179.06となっている。
本日の日経平均株価は前日に続いて高値もみ合いが予想される。決算発表が概ね好調な米株式市場は上昇しており、為替も108円台半ばと安定、ブレグジットは合意となり大きく下落する材料はない。ブレグジットに関しては英議会承認への懸念があるため不安もあるが、場中にこれを材料視しての下落はないだろう。週末で上値追いは限定される可能性はあるとはいえ、基本的には堅調に推移するのではないか。2万2450~2650円あたりでの推移が予想される。