木曜日の米国株式市場は主要3指数揃って小幅に上昇した。EUと英国のブレグジット協定案合意とトルコによるシリアのクルド人勢力への攻撃停止、ネットフリックス (NASDAQ:NFLX)やモルガン・スタンレー (NYSE:MS)などの決算が材料視された。
ジョンソン英首相とユンケルEU委員長は共同で記者会見し、ブレグジット協定案の合意を発表した。バックストップ条項削除(北アイルランド国境に検問所等を設置しない)や北アイルランド議会の同意権などが加わった。メイ前首相のまとめた合意案に上記の変更を加えた形だが、焦点のバックストップ条項削除が盛り込まれたのは大きいといえる。ただし、DUP(民主統一党)や労働党は反対を表明し、英議会で承認されるかは不透明な情勢だ。もし否決されれば10月末に迫ったブレグジットの延期、または合意なき離脱、国民投票など様々な選択肢が再び浮かび上がり、またもや英国は混迷することになる。
経済指標では原油在庫量が928.1万バレルと大幅に上昇。建築許可件数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数、鉱工業生産はどれも市場予想を下回り、米経済への懸念が高まった。
決算発表ではモルガン・スタンレーが市場予想を上回る決算を発表し、契約者数が予想以上に伸びたネットフリックスとともに株価を牽引した。逆にIBMは市場予想を下回り下落している。
午前10時31分時点で、米10年債利回りは1.741%は小幅に低下、ドル/円は108.64円と108円台半ばで推移している。
上海総合指数は0.32%高、香港ハンセン指数は0.27%高、韓国総合株価指数は0.37%高とアジア株式市場は概ね上昇している。ドル/オフショア人民元は0.16%安、ドル/ウォンは0.07%高。ブレグジット協定案合意で注目されるポンド/円は0.20%安となっている。
午前11時に発表された中国7-9月期GDPは前年比6.0%と市場予想を下回り、鉱工業生産は5.8%と市場予想を上回った。米中貿易戦争を受けた中国経済の失速が懸念されたが、鉱工業生産は上昇しており、市場は好感するだろう。
センチメントがリスクオンに傾く中、日経平均株価は午前11時3分時点で2万2576円と上昇している。懸念されていた米企業決算が順調であり、不透明感は残るとはいえ米中合意、ブレグジット合意と市場環境は改善されている。後場に関しては週末を迎えることから上値追いはないだろうが、下落は想定しにくく高値圏のもみあい継続だろう。2万2500~2650円での推移が予想される。