[21日 ロイター] - 米国株式市場は小幅続落して取引を終えた。米中通商協議が進展している明確な兆候がない中、情報が交錯し様子見の展開となった。
米下院は20日、香港の民主化デモを支持する2つの法案を可決し、人権を巡る警告を中国に発した。これに中国は反発している。[nL3N2810KE]
しかし、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が21日、関係筋の話として報じたところによると、中国政府は米政府に対し、新たな対面通商協議を提案したという。[nL3N2812YN]
前日には米中通商協議の「第1段階」の合意が来年にずれ込む可能性があるとの報道が、市場の重しとなっていた。[nL3N280458]
米株市場は過去最高値付近にあり、情報が交錯する中、様子見ムードが広がった。
CFRAリサーチの最高投資ストラテジスト、サム・ストバル氏は「市場の一進一退の動きは、第1段階の米中通商合意への期待が軸となっている。投資家は『今年に起きる、起きない』と花びらをちぎって花占いをするように思案している」と指摘した。
また、市場は基本的に可能な限り上昇しているとし、「予想PER(株価収益率)は18.5倍と20年平均の16.5倍を上回り、バリュエーションは割高になっているようだ」と述べた。
この日は経済指標もまちまちの内容となった。新規失業保険申請件数は前週から横ばいで5カ月ぶりの高水準となり、労働市場がやや弱含んでいることを示唆。一方、10月の米中古住宅販売戸数は市場予想以上に増加。価格上昇率は前年比で約2年ぶりの大きさとなった。[nL3N2813RR][nL3N2813U5]
クレセット・キャピタル・マネジメントのジャック・アブリン最高投資責任者(CIO)は、経済指標には市場の値動きを大きく左右するほどのサプライズはなかったと語った。
S&P総合500種 (SPX)の主要11セクターでは3セクターが上昇。エネルギーセクター (SPNY)は1.6%高と上昇率が最も大きかった。石油輸出国機構(OPEC)など産油国が協調減産を来年半ばまで延長するとの期待から原油価格が上昇したことが背景。[nL3N28146E]
不動産セクターは1.4%安で、下落率が最大だった。情報技術セクター (SPLRCT)は0.5%下落し、S&P総合500種を押し下げた。
個別銘柄では、オンライン証券のTDアメリトレード・ホールディング (O:AMTD)が16.9%急伸。同業チャールズ・シュワブ (N:SCHW)が、TDアメリトレードを買収する方向で協議しているとCNBCが報じたことが背景。チャールズ・シュワブは7.3%上昇した。
宝飾品大手ティファニー (N:TIF)は約2.6%高。仏高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン) (PA:LVMH)がティファニーに対する買収提示額を引き上げ、ティファニーがLVMHからのデューデリジェンス(対外秘の資産などの査定)の要請を受け入れたとのロイターの報道が好感された。[nL3N2810OM]
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.55対1の比率で上回った。ナスダックでも1.37対1で値下がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は68億3000万株。直近20営業日の平均は70億5000万株。
終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード
ダウ工業株30種 27766.29 -54.80 -0.20 27820.28 27828.33 27708.34 (DJI)
前営業日終値 27821.09
ナスダック総合 8506.21 -20.52 -0.24 8527.87 8530.73 8487.29 (IXIC)
前営業日終値 8526.73
S&P総合500種 3103.54 -4.92 -0.16 3108.49 3110.11 3094.55 (SPX)
前営業日終値 3108.46
ダウ輸送株20種 10681.29 -13.75 -0.13 (DJT)
ダウ公共株15種 851.37 -3.64 -0.43 (DJU)
フィラデルフィア半導体 1690.83 -19.31 -1.13 (SOX)
VIX指数 13.06 +0.28 +2.19 (VIX)
S&P一般消費財 938.08 -4.92 -0.52 (SPLRCD)
S&P素材 371.36 -0.45 -0.12 (SPLRCM)
S&P工業 683.02 -1.08 -0.16 (SPLRCI)
S&P主要消費財 628.86 -3.38 -0.53 (SPLRCS)
S&P金融 491.78 -0.48 -0.10 (SPSY)
S&P不動産 236.48 -3.33 -1.39
S&Pエネルギー 439.68 +7.07 +1.63 (SPNY)
S&Pヘルスケア 1131.35 +2.48 +0.22 (SPXHC)
S&P通信サービス 176.69 +0.44 +0.25 (SPLRCL)
S&P情報技術 1518.52 -7.40 -0.48 (SPLRCT)
S&P公益事業 318.39 -1.18 -0.37 (SPLRCU)
NYSE出来高 8.59億株
シカゴ日経先物12月限 ドル建て 23090 + 40 大阪比
シカゴ日経先物12月限 円建て 23080 + 30 大阪比
(S&Pセクター別指数は関連コンテンツでご覧ください; リフィニティブデータに基づく暫定値です。前日比が一致しない場合があります)