[東京 7日 ロイター] - 内閣府は7日、「日本経済2019―20」(ミニ経済白書)を発表した。副題を「人口減少時代の持続的な成長に向けて」とし、高齢化が進む日本における消費の動向を課題として挙げた。消費税率引き上げの影響は限定的かつ一時的なものにとどまる見通しとした一方、高齢世帯の増加が消費の増勢を緩やかにしている一因と分析している。
日本経済は2012年11月を景気の谷として、それ以降、緩やかな回復を続けているとみている。19年は、外需が弱い一方で内需が景気をけん引。4―6月期から7―9月期にかけては消費だけでなく設備投資や公共投資も堅調で、実質国内総生産(GDP)成長率に対する内需全体の寄与度(前期比)は、4―6月期が0.8%増、7―9月期が0.6%増と高めに推移したとみる。
<消費税率引き上げの影響は限定的>
注目された増税後の家計消費の動向については、振れを伴いながらも、緩やかな増勢を維持しているとした。19年12月半ばまでの小売り販売の動向をみると、増税に伴う駆け込み需要とその反動減は前回(14年4月時)ほどではないとみられるという。
商品やサービスの販売動向については、消費税率引き上げ後にみられた落ち込みには10月の台風の影響など天候要因が大きく作用しており、 そうした影響がなくなった11月には平年並みの動きへと転じつつあることが確認されるとしている。
<高齢世帯数の増加、消費の拡大テンポ鈍化する要因に>
一方で、消費は、高齢世帯の増加という構造的な要因により、伸びが抑制されているとの見方を示している。
日本の総世帯は増加しているが、現役世帯の減少を上回るペースで高齢世帯が増加している。消費額は現役世帯が年額600万円程度であるのに対し、高齢世帯は450万円程度にとどまると試算しており、総世帯が増えても平均的な世帯当たりの消費額は減ると指摘している。
(浜田寛子 編集:高木匠 田中志保)