[ニューヨーク 2日 ロイター] - 米国株式市場は大幅上昇して取引を終えた。前週の株価急落を受け、安値拾いの買いが入った。主要中銀が新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響に対応する用意があると表明したことで、安心感が広がった。
主要株価3指数は取引終了の数分前に上げ幅を拡大。ダウ工業株30種 (DJI)は5%超、S&P総合500種 (SPX)とナスダック総合 (IXIC)は4%超、それぞれ値上がりした。上昇率はダウが2009年以来の大きさ。S&Pとナスダックは18年12月以来の大きさとなった。
前週には新型ウイルス流行による経済への影響を巡る懸念から、週間で08年の金融危機以来の大幅な下げを記録し、27日には調整局面入りしていた。
S&Pは2月19日に付けた終値ベースでの最高値を依然として8.7%下回っている。
この日はアップル (O:AAPL)が9.3%急伸。1日の上げ幅として08年以来最大を記録した。ただ、2月12日に付けた終値ベースの最高値からは9%近く下落している。
日銀が2日発表した黒田東彦総裁の談話によると、同総裁は、日銀として「今後の動向を注視しつつ、適切な金融市場調節や資産買い入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく方針」を示した。[nT9N2AQ00K]
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長も前週28日、声明を発表し、米経済は引き続き底堅いものの、新型コロナウイルスの感染拡大が経済へのリスクになっており、景気の下支えに向けFRBとして適切に対応すると表明した。[nL3N2AS592]
クレセット・ウエルス・アドバイザーズのジャック・アブリン最高投資責任者(CIO)は「景気悪化は気にしなくていいが、企業の債務返済能力に影響が波及し始めた場合、問題は深刻化する」と指摘。その上で「しかし、中銀は景気先行き不透明感からクレジット市場を守る方策を模索するため協調しているようだ」と語った。
CMEグループのFEDウオッチによると、短期金利先物はFRBが3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)の利下げを行う確率を完全に織り込んでいる。[nL4N2AV4GC]
米取引所の合算出来高は140億株と、直近20営業日の平均95億株を大幅に上回り、大商いとなった。
S&Pの情報技術セクター (SPLRCT)は5.7%高と2018年12月以来最大の上昇率を記録した。
この日発表された製造業関連データは軟調だった。米供給管理協会(ISM)の2月製造業景気指数は50.1と、前月の50.9から低下し、ロイターがまとめたエコノミスト予想の50.5を下回った。新型コロナウイルスの急速な感染拡大に伴う供給網の混乱に関する懸念を反映した。[nL4N2AV4NV]
チャールズ・シュワブのトレーディング・デリバティブ担当バイスプレジデント、ランディー・フレデリック氏は「FRBは好きなだけ利下げすることが可能だが、検疫を受けている工場の従業員を職場に復帰させることはできない」と指摘。「(金融政策が)問題を解決するとは思わない。これは特に需要と供給の問題で、金融政策は支援にはなるものの、問題解決にはつながらないだろう」と語った。
がん治療薬開発会社フォーティー・セブン (O:FTSV)は62%の大幅高。製薬大手ギリアド・サイエンシズ (O:GILD)が同社に対し、49億ドルの買収提案を行ったことが好感された。ギリアドは8.71%高。
マスクメーカーのアルファ・プロ・テック (N:APT)は22%急落した。ただ、年初来では依然として350%超上昇している。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を4.32対1の比率で上回った。ナスダックでは2.69対1で値上がり銘柄数が多かった。
*内容を追加しました。
終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード
ダウ工業株30種 26703.32 +1,293.9 +5.09 25590.51 26706.17 25391.96 (DJI)
6
前営業日終値 25409.36
ナスダック総合 8952.17 +384.80 +4.49 8667.14 8952.81 8543.35 (IXIC)
前営業日終値 8567.37
S&P総合500種 3090.23 +136.01 +4.60 2974.28 3090.96 2945.19 (SPX)
前営業日終値 2954.22
ダウ輸送株20種 9475.68 +87.49 +0.93 (DJT)
ダウ公共株15種 886.52 +46.56 +5.54 (DJU)
フィラデルフィア半導体 1765.38 +59.84 +3.51 (SOX)
VIX指数 32.51 -7.60 -18.95 (VIX)
S&P一般消費財 947.78 +32.01 +3.50 (SPLRCD)
S&P素材 344.38 +13.71 +4.15 (SPLRCM)
S&P工業 635.40 +17.01 +2.75 (SPLRCI)
S&P主要消費財 627.84 +32.63 +5.48 (SPLRCS)
S&P金融 462.16 +21.46 +4.87 (SPSY)
S&P不動産 239.21 +11.51 +5.06 <.SPLRCR>
S&Pエネルギー 353.68 +10.15 +2.95 (SPNY)
S&Pヘルスケア 1127.57 +51.91 +4.83 (SPXHC)
S&P通信サービス 177.39 +6.14 +3.59 (SPLRCL)
S&P情報技術 1637.61 +88.37 +5.70 (SPLRCT)
S&P公益事業 332.25 +18.40 +5.86 (SPLRCU)
NYSE出来高 18.28億株 <.AD.N>
シカゴ日経先物3月限 ドル建て 21435 + 265 大阪比 <0#NK:>
シカゴ日経先物3月限 円建て 21425 + 255 大阪比 <0#NIY:>