日経平均は3日ぶり大幅反発。
492.15円高の19782.35円(出来高概算6億9000万株)で前場の取引を終えている。
16日の米株式市場でNYダウは小幅に反発し、33ドル高となった。
週間の新規失業保険申請件数の増加が続き、経済封鎖以降の4週間で2200万件に達したほか、フィラデルフィア連銀の4月製造業景況指数が過去最大の落ち込みを見せ、景気の先行き懸念が上値を抑えた。
ただ、引けにかけてトランプ政権による経済活動再開の指針発表を期待した買いが強まり、時間外取引ではNYダウ先物が急伸。
本日の日経平均もこうした流れを引き継ぎ285円高からスタートすると、朝方には19892.96円(602.76円高)まで上昇する場面があった。
その後は目先の利益を確定する売りも出たものの、19800円を挟み堅調に推移した。
個別では、ソフトバンクG (T:9984)が売買代金トップで6%超上昇しているほか、ファーストリテ (T:9983)やリクルートHD (T:6098)、ホンダ (T:7267)の上げが目立った。
半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が好決算を発表し、東エレク (T:8035)などの半導体関連株も大きく買われた。
その他売買代金上位ではソニー (T:6758)、トヨタ自などが堅調。
新型コロナウイルス治療で期待される「アビガン」の原薬生産を始めると発表したカネカ (T:4118)が急伸し、リケンテクノス (T:4220)は一部報道を受けてストップ高を付けた。
一方、任天堂 (T:7974)や富士フイルム (T:4901)は利益確定売り優勢。
今期の大幅減益見通しが嫌気されたいちご (T:2337)は急落し、アトラ (T:6029)などとともに東証1部下落率上位に顔を出した。
セクターでは、鉄鋼、輸送用機器、海運業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。
半面、陸運業、水産・農林業、パルプ・紙など5業種が下落した。
東証1部の値上がり銘柄は全体の49%、対して値下がり銘柄は46%となっている。
トランプ米政権が経済活動再開の指針を発表したことを受け、NYダウ先物が時間外取引で急伸。
日経平均もこうした流れから上げ幅を大きく広げる展開となった。
売買代金上位は全般堅調だが、特に日経平均への寄与が大きい値がさ株やTSMCの決算が好感された半導体関連株の上げが目立つ。
セクター別騰落率からは、出遅れている外需系にも資金が向かっている印象。
反面、新型コロナへの対応で期待が高まった銘柄や内需・ディフェンシブ株の一角が利益確定売りに押されている。
ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円弱とやや増えた印象で、日経平均の2万円接近で売り買いが交錯していることを示しているとみられる。
前引けの上昇率は日経平均が2.55%、対して東証株価指数(TOPIX)が1.27%。
マザーズ指数は5日続伸となっている。
今週に入り当欄で述べてきた「目先的な調整を挟みつつ、海外株高につれた日経平均主導の相場上昇」という見方に沿った動きが続いているとみてよいだろう。
日経平均が節目の2万円に接近してきたことで、戻り待ちの売りや利益確定の売りが出やすいところではある。
また、米政権の経済再開策については専門家らから「時期尚早」などといった声が挙がっているもようで、地方政府が連邦政府の方針に従うか注視する必要がありそうだ。
中国では本日発表された1-3月国内総生産(GDP)が実質で前年同期比6.8%減と、市場予想(6.0%減程度)を下回った。
日本国内では緊急事態宣言が全国に広がり、新型コロナとの戦いは途上と言わざるを得ない。
それでも、やはり市場の視線は新型コロナで先行した中国の正常化やそれに続く米国等の動きに向き、株高に乗り遅れまいとしているようだ。
企業の決算発表が本格化するのを前に銘柄選別ムードは強まりそうだが、米国では新型コロナの影響で需要が高まっているインターネットサービスのネットフリックスやアマゾン・ドット・コムが連日で上場来高値を更新。
マザーズの動きもこの延長として捉えられるだろう。
先行して発表された海外半導体関連企業の決算は良好で、東京市場では東エレクなどが買われている。
中国の回復に関連するところでは、新型コロナ前に腕時計「G-SHOCK」が拡大していたカシオ計 (T:6952)などが有望と考えられる。
新型コロナの第二波到来などでシナリオ修正を迫られない限り、このように「買える銘柄に資金が向かう」構図は続きそうだ。
(小林大純)