■要約フェローテックホールディングス (T:6890)は、真空シール、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、磁性流体、サーモモジュール、シリコンウエーハ、パワー半導体基板など様々な製品、装置、部品、素材等の製造を行っている。
それ以外にも、半導体製造装置メーカー向けに各種部品等の洗浄サービスやシリコンウエーハの研磨なども行う大手メーカーである。
主要顧客は、大手半導体製造装置メーカーである。
1. 2020年3月期業績(実績)2020年3月期決算は、売上高が前期比8.8%減の81,613百万円、営業利益が同31.5%減の6,012百万円、経常利益が同47.1%減の4,263百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同37.3%減の1,784百万円となった。
既に上期から、主力の半導体等装置関連が低調であったため、第2四半期時点で通期予想の下方修正を行った。
しかし、第4四半期に入って新型コロナウィルス感染症(以下、コロナ)の影響があり、修正後の数値をやや下回る結果となった。
セグメント別の売上高は、半導体等装置関連が同7.2%減、電子デバイスが同4.6%増、その他が同22.1%減となった。
なお、縮小を進めている太陽電池関連は、「その他」に組み込まれている。
コロナの影響については、中国にある主要子会社の決算が12月であるため、本決算においては軽微であった。
しかし、2月以降に国内市場において物流・営業等で影響を受けた。
設備投資額はウエーハ関連を中心に33,920百万円(期初計画48,000百万円)となり、一部案件が翌期にずれ込んだ。
2. 2021年3月期業績(予想)2021年3月期の業績について、売上高は85,000百万円(前年同期比4.1%増)、営業利益は6,500百万円(同8.1%増)、経常利益は5,500百万円(同29.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,500百万円(同16.0%減)としている。
2021年3月期第2四半期の売上高は40,000百万円(前年同期比4.4%減)、営業利益は3,000百万円(同15.9%減)、経常利益は2,500百万円(同1.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は0百万円(同100.0%減)が見込まれている。
親会社株主に帰属する四半期純利益について、同社は太陽電池用多結晶インゴット事業のクローズに際し、製造設備の減損損失を約1,200百万円とし、その他固定資産の処分も含めて1,500百万円の損失見通しとなったためとしている。
セグメント別売上高は、半導体等装置関連は同4.9%増、電子デバイスは同5.2%減、その他は同36.8%減が予想されている。
主要な子会社の上期決算が6月末であり、現時点で上期決算額はおよそ固まっていると考えられる。
このため、連結で上期の予想が達成される可能性は高いと思われる。
設備投資額(通期)は、2020年3月期からのずれ込みがあるため29,400百万円(当初計画12,000百万円)が見込まれている。
3. 中長期的な見通し:現在の中期経営計画(2022年3月期最終年度)は見直し同社は、2022年3月期に売上高1,200〜1,300億円、営業利益120〜130億円、営業利益率10.0%超、ROE10.0%超、ROIC6.0%超、自己資本比率40.0%超を目標とする中期経営計画を発表していた。
しかしコロナの影響により半導体業界を中心に先行きが不透明であることから、この計画をいったん見直すこととした。
また設備投資も2020年3月期からのずれ込みで2021年3月期も高水準となる見込みである。
一方、有利子負債は増加を続けている。
同社代表取締役社長の交代も行われた。
今後は事業機会(投資計画)と財務基盤のバランスを取りながら計画を進める予定で、新しい中期経営計画は改めて発表される見込みだ。
■Key Points・石英、セラミックス等の無機系製品の大手メーカー。
半導体業界向けが多い・半導体業界の失速により2020年3月期は減収・減益・2021年3月期の予想は増収予想。
高水準の設備投資が続く。
財務基盤とのバランスが重要課題(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)