[上海 29日 ロイター] - 中国の金融システムで資金需給が逼迫する中、社債の大量償還が迫っている。中国当局が新型コロナウイルス流行に対処するための景気刺激策の縮小を計画しているとの憶測もあり、向こう数カ月の間にデフォルト(債務不履行)が増加するリスクが高まっている。
S&Pグローバル・レーティングによると、今年3─4月に約2兆6000億元(4021億9000万ドル)相当の社債(人民元建て)が償還期限を迎えるか、もしくは期限前償還が可能になる。
大量の社債が償還期限を迎える背景には、新型コロナへの積極的な政策対応を受けて資金調達コストが低下し、昨年初めに社債発行が急増したことがある。
S&Pグローバル・レーティングの中国専門家、チャン・リー氏は「中国の発行体のクレジットリスクは昨年、先送りされたが、消えたわけではない」と指摘。「借り換えリスクは非常に大きい。資金調達コストが非常に高くとも、(発行体は)受け入れざるを得ない」と述べた。
中国の堅調な景気回復を背景に市場金利は既に高水準になっていたが、このところは国内の流動性が逼迫し、金利は一段と上昇。中国人民銀行(中央銀行)が政策を引き締めているとの観測も広がっている。