[ムンバイ 4日 ロイター] - 動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が、インド政府が脱税疑惑調査で自社の銀行口座を凍結したことは嫌がらせであり、違法だと裁判所に訴えていることが分かった。裁判資料をロイターが確認した。
インド政府は昨年、中国との国境を巡る衝突後にTikTokの禁止措置を発動。バイトダンスは今年1月、インド政府がこの措置を維持したことを受けて、インドでの人員を削減した。中国政府は中国のアプリに対する禁止措置についてインドを繰り返し非難している。
インドの税務当局は3月中旬、バイトダンス現地法人の金融取引を調査する中で同社の銀行口座を凍結するようHSBCとシティバンクのムンバイ部門に命じた。
バイトダンス側は4口座が凍結されたことについて、ムンバイの裁判所に提訴している。
バイトダンスは3月25日に提出した裁判資料の中で、当局は具体的な証拠やインドの法律が求める事前通知なしにこうした「劇的措置」を取ったと主張。調査手続き中に口座を凍結することは「不当な抑圧」であり、「原告に嫌がらせするため不適切に計画された」と訴えた。
インド当局からは今のところコメントを得られていない。
バイトダンスに対する税務調査の詳細は今のところ明らかになっていない。ただ、裁判資料の中では、税務当局が昨年、バイトダンスが特定の取引を隠ぺいし、多額の税額控除の適用を申請したと信じる理由があると同社に伝えていたことが明らかにされている。
バイトダンスは裁判資料に関するコメントは避けた。ただ、ロイターに対しては先日、税務当局の決定には同意していないと表明していた。
HSBCはコメント避けた。シティバンクからは回答を得られなかった。
事情に詳しい関係筋2人によると、口座凍結を受け、バイトダンス現地法人の従業員には3月の給与が支払われていないという。同社は裁判所に対して、従業員数は外部委託を含め1335人と説明している。