[ワシントン 13日 ロイター] - 米疾病対策センター(CDC)は13日、新型コロナウイルスを巡る指針を改定し、ワクチン接種を完了した人は屋外および屋内の大半の場所で、マスクの着用は不要と定めた。
ソーシャルディスタンシング(社会的距離)についても、大半の場所で維持する必要はないとした。
一方、航空機や電車、空港や駅、病院などの屋内では、ワクチン接種を完了していても引き続きマスクの着用を推奨した。
CDCのワレンスキー所長は制限緩和について、新規感染者数の大幅減や、ワクチン接種対象年齢の12─15歳への拡大を理由に挙げた。
CDCは4月下旬に行った前回の指針改定で、ワクチン接種完了者に対し多くの制限を引き続き課したため、慎重過ぎるとの批判の声が上がっていた。コロナ前の日常生活に戻れるという点で、ワクチン接種のメリットがより明確になる必要があるとの指摘があった。
米国ではトランプ前大統領がマスク着用義務化に反対したことなどから、マスクが政治問題化し、州によって対応も分かれている。
バイデン大統領はこの日、ホワイトハウスでマスクを着用せずに発言。「重要な節目で、素晴らしい日だ」と強調し、マスクを外せるようになれば、米国人は再び笑顔で挨拶できるようになると述べて笑みを浮かべた。
CDCは発表文で「過去数週間に確認した追加データは、ワクチンが実社会で効果があり、変異株にも効力を発揮し、接種完了者が他人にウイルスを感染させる可能性が低いことを示した」と説明した。
バンダービルト医科大学の感染症専門家、ウィリアム・シャフナー氏は、新たな指針は多くの人が望んでいた内容だとコメント。「州保健当局や感染症専門医はワクチンの効果の高さに感心しており、接種者に褒美が必要とも感じていたため、このような指針の必要性を訴えてきた」とした。
一方、小売業リーダーズ協会(RILA)は、CDCの指針は州・地方政府の命令と一致していないため、曖昧さが残ると指摘。
米スーパーマーケットチェーンのクローガーは、現時点でマスク着用を引き続き義務付けると表明。
米ディスカウント店のターゲットはCDCの指針を精査する間、全店舗でマスク着用やソーシャルディスタンスなどの安全策を引き続き講じるとした。
新たな指針はまた、ワクチン接種済みの米国人は全ての旅行を再開できるとし、海外旅行後の隔離も必要ないと定めた。さらに、無症状の感染者と接触しても新型コロナ検査の必要はないとした。
ただ、海外渡航については、カナダへの不要不急の渡航などが引き続き制限されている。
CDCは、ワクチン接種が完了していても、連邦法や州法、地域の法律でマスク着用が義務化されている場合は従う必要があるとし、事業所などのルールも順守するよう求めた。