[ローマ 31日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのビスコ・イタリア中銀総裁は31日、ユーロ圏の景気回復見通しは依然として不透明との認識を示し、ECBは経済状況によって正当化されない金利の大幅上昇に対処すると述べた。
イタリア中銀の年次会合で講演し、2008─09年の金融危機時に金融刺激策の拙速な解除を行うことのリスクが示されたと指摘した。
現在の状況下では回復の時期と強さが不透明なため、金融状況は長期にわたって緩和的でなければならないと述べた。
「現在の経済見通しを踏まえると、大幅で持続的な金利上昇は正当化できず、対処が必要」との見解を示した上で「(ECBは)債券買い入れプログラムを最大限活用する」用意があると語った。
ECBは上下に対称的な2%の物価目標を導入すべきとの考えを示し、現在の「2%を下回るがこれに近い水準」よりも「明確」で「中長期的なインフレ期待の定着を強化する」と説明した。
財政政策については、欧州連合(EU)共通予算の編成を改めて主張、7500億ユーロ規模の復興基金は共同債発行を順調に進める地ならしとなるべきとした。
これにより金融政策の効果が高まり、ユーロが国際通貨の役割を完全に担うことができるとした。
イタリア国内については、いくつかの銀行は構造的な弱さを抱えており、こうした銀行は主に小規模行だと述べ、「早急に」ビジネスモデルを再考するよう求めた。
銀行が経営破綻した場合は、できる限り秩序だった形で市場から退出させるよう努めると語った。
今年の成長率は「4%以上」との予想を維持した。