[東京 14日 ロイター] - 4月のロイター企業調査では、1ドル=120円超の円安水準で推移する現在の為替相場について、減益要因になるとの回答が48%に達した。増益要因と回答した企業(23%)の倍以上となっており、企業のコスト高への懸念が強まっている。日本経済にとって円安はプラス要因とも言われていたが、足元の円安は海外からの原材料仕入れ価格に大きな影響を及ぼすなど、原燃料価格の高騰に拍車を掛けている。
調査期間は3月30日から4月8日。発送社数は499、回答社数は241だった。調査期間である3月30日から4月8日の為替水準は121円前半―124円付近で推移していた。
調査では「多少減益要因となる」が36%で、「かなり減益要因となる」の12%と合わせると48%に上った。一方、「かなり増益要因となる」は4%、「多少増益要因となる」は19%で、増益要因と答えた企業は計23%にとどまった。
「仕入れ価格の上昇」(小売)、「材料資機材の高騰」(建設)と、現状の円安を懸念する声は多く、「繊維・紙・パルプ」、「石油・窯業」、「鉄鋼・非鉄」、「食品」、「輸送用機器」、「卸・小売」と幅広い業種で「減益要因」との回答が5割を超えた。「輸送用機器」では63%の企業が「減益要因」としている。
「増益要因」の回答が5割以上となったのは「化学製品」、「電機」、「精密機器・その他製造」の3業種だった。
日銀の黒田東彦総裁は5日、「円安が日本経済に全体としてプラスに作用しているという基本的な認識に変わりない」と述べている。
企業にとって、許容できる円安水準を尋ねたところ、120円が45%と最も多く、すでに、約半数の企業にとっては、足元の為替レートが許容水準を超えていることになる。次いで125円で31%、130円で18%となっており、125円超の円安なら76%、130円超の円安なら94%と大多数の企業が許容できない水準となる。
また、どの水準からが「悪い円安」かとの質問に対しては、130円以上との回答が41%で最多となった。
<追加経済対策、72%が必要>
コスト高に苦しむ企業からは追加経済対策を求める声が出ている。「必要」とする企業は72%、そのうち、規模は1―5兆円が48%で最多、次いで6―10兆円が29%となった。20兆円以上の大型対策を求める向きも10%あった。
企業は「消費減税」(食品、電機)や「原料高対策」(卸売、機械)、「エネルギー価格高騰対策」(鉄鋼、金属機械)などを求めている。
政府は月内に物価高に対応する緊急対策を取りまとめる予定。予算は予備費で賄う。その後、補正予算編成を伴う経済対策を見据えた「二段構え」の財政運営とするスタンスだ。