[東京 31日 ロイター] - 来週の東京株式市場は上昇基調を強めそうだ。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用比率見直しや日銀による追加緩和を受けて、市場には「国策に売りなし」(相場格言)との強気な見方が広がっている。急ピッチな上昇に対する警戒感はあるものの、円安と連動した株先高観が広がり、日経平均は1万7000円回復が視野に入るという。
日経平均の予想レンジは1万6000円─1万7000円。
2013年4月の異次元緩和時には、日経平均が決定日前日から1週間で962円上昇。その後、5月の高値1万5942円まで約3500円上昇した。国内外の経済状況や企業業績など市場を取り巻く環境に加え、株価水準も異なるため、一概には言えないが、「日銀緩和に加え、GPIFの運用比率見直しなどを機に『官制相場』の色合いが強まる」(国内証券)として市場には株高期待が強い。
SBI証券シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏は、前回の異次元緩和後の株価動向を分析。今回、ETF買い入れ対象となったJPX日経400 .JPXNK400 の構成銘柄のうち、野村 8604.T や第一生命 8750.T 、JPX 8697.T などの上昇が目立ったという。 藤本氏は「不動産やノンバンクなど緩和メリット関連だけではなく、株高の恩恵を受ける銘柄も買われやすい。売り方の踏み上げも交え、日経平均1万7000円へのチャレンジが期待される」とみる。
SMBC日興証券ストラテジストの圷正嗣氏も強気の見方だ。円安進行による輸出株への買いに加え、「日銀追加緩和を背景に不動産やその他金融、証券など内需のリフレ関連銘柄が動意付き始めたことで、腰の強い相場付きに変化する」と指摘。政策を打ち出す政府・日銀に対する信頼などが「海外投資家にとって買い安心感につながる」と述べた。
相次ぐ米経済指標で堅調な数値が見込まれていることも支援材料となる。注目される指標は、3日の10月米ISM製造業景気指数、5日の10月米ADP民間部門雇用者数や10月米ISM非製造業景気指数、7日の10月米雇用統計など。また欧州では6日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される予定でドラギ総裁会見が注目される。
国内では企業決算が発表される。主力どころでは、4日の日産自 7201.T やソフトバンク 9984.T 、5日のトヨタ自 7203.T 、6日の味の素 2802.T 、三井不 8801.T 、7日のオリンパス 7733.T 、三菱商 8058.T など。ただ大きなうねりを描く全般相場のなかで、個別決算は飲み込まれそうとの見方があった。
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