[ワシントン 2日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が2日に発表した4月の製造業景気指数は55.4と、前月の57.1から低下した。低下は2カ月連続で、2020年7月以来の低水準を付けた。
指数は50が景気拡大・縮小の節目。ロイターがまとめたエコミスト予想は57.6への上昇だった。
仕入れ価格の上昇ペースが鈍化するなど、サプライチェーン(供給網)の逼迫(ひっぱく)は緩和し始めているものの、製造業部門で労働者の離職が増える中、中国の新型コロナウイルス抑制に向けたロックダウン(都市封鎖)受け夏にかけて供給に影響が出るとの懸念が台頭。消費の対象がモノから、外食や娯楽などのサービスに戻りつつあることも、2カ月連続での低下の背景にあるとみられている。
ISMは、製造業部門は引き続き「需要主導、供給網の制約」という環境下に置かれていると指摘。ISMの製造業調査責任者、ティモシー・フィオーレ氏は、一部製造業者の間で今夏のアジア地域からの納入を巡る懸念が出ているとし、国外の新たな新型コロナ感染拡大が「米国の製造業界に対する向かい風になっている」と述べた。
業種別では、6業種のうち5業種(機械、コンピューター・電子機器、食品、輸送機器、化学製品)が拡大。ただ供給網に関する見方は業種によりまちまちだった。
化学製品は、中国・上海の供給業者の操業停止や米国を含む港湾施設での長期遅延が引き続き課題になっていると指摘。食品は、供給網はなお制約を受けているとの見方を示した。一方、輸送機器と非金属製品は、改善がみられるとした。
新規受注指数は53.5と、53.8からやや低下。
供給業者の納入を示す指数は67.2と、65.4から上昇した。50を上回ると納入の遅れを意味する。
受注残を示す指数は56と、60.0から低下。2カ月連続で低下した。
供給網の制約の緩和を反映し、仕入れ価格指数は84.6と、87.1から低下した。
雇用指数は50.9と、56.3から低下。米国の求人件数は2月末に1130万人とほぼ過去最高に達しており、雇用指数の低下は採用難を反映しているとみられている。