[マニラ 12日 ロイター] - フィリピン統計局が12日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)は前年比8.3%増加し、伸び率は前期の7.7%から加速し、市場予想の6.6%も上回った。
伸び率は2021年第2・四半期(12.1%)以来の高水準。インフレ高進に直面する中央銀行に利上げの余地を与えるとみられている。
季節調整済みの前期比では1.9%増加した。
新型コロナウイルス関連規制の緩和や選挙関連支出が押し上げ要因となった。消費は10.1%増加。政府支出は3.6%増加した。
経済は順調に拡大しているように見えるが、物価高や国内の政治リスクが回復を阻む可能性があるとアナリストは指摘する。
野村はノートで「エネルギー価格の一段の上昇や政治の不透明感が成長下押しリスクだ」と指摘した。
カール・ケンドリック・チュア経済企画長官は会見で「第1・四半期のデータから明らかなように、経済活動の再開は比較的順調に進んでおり、当面の優先事項はインフレ、特に国民に最も影響を与える食品価格に対応することだ」と説明した。
ジョクノ中銀総裁はGDP発表を受け「供給側の圧力が需要に波及する重大なリスクが認められた場合、金融政策を調整する用意がある」と述べた。
中銀は5月19日に政策会合を開くが、一部のアナリストは利上げの可能性が高いと予想している。
9日の大統領選挙では、フェルディナンド・マルコス・ジュニア氏が圧勝した。ただ、経済面の政策方針があいまいで、20年にわたり独裁政治を敷いた故マルコス元大統領の長男ということが、先行きに一定の不安要素となっている。