[27日 ロイター] -
<為替> ドルが小幅安。週足では2週連続での下げとなる見通し。トレーダーの間では、米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げ予想を修正する動きが広がっている。また、朝方発表された米指標はインフレ伸び鈍化と堅調な消費支出の継続を示し、景気後退を巡る懸念が和らいだ。
主要6通貨に対するドル指数は一時101.43と、4月25日以来の安値に沈んだ後、終盤の取引では0.059%安の101.66。週間ベースでは1.24%下落する見通し。前週も1.45%下落していた。
スコシアバンクのストラテジストはノートで、「ドルの幅広い上昇は終了し、足元では大幅安とはなっていないものの、一段高となる公算は小さいように見える」という見方を示した。「FRBの利上げは完全に織り込まれているほか、経済成長が予想以上に速いペースで減速すれば、年後半の利上げ観測は修正される可能性がある」と述べた。
ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニアマーケットアナリスト、ジョー・マニンボ氏は「秋にFRBが利上げを一時停止するという観測が高まる中、ドルは下げに転じている」と述べた。
朝方発表された4月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比6.3%上昇。伸び率は1982年以来の高水準となった前月の6.6%から縮小した。前月比でも0.2%上昇と、3月の0.9%上昇から減速し、2020年11月以来、最小の伸びにとどまった。
来週発表される米指標では、5月の米雇用統計が注目される。
前出のウエスタン・ユニオンのマニンボ氏は「雇用統計によって、第3・四半期以降の引き締め余地が示されるだろう」と述べた。
ユーロ/ドルは横ばいの1.0731ドル。一時、1カ月ぶりの高値を付ける場面もあった。
ポンドは0.16%高の1.2628ドル。
リスクに敏感な豪ドルは0.8%高の0.7156米ドル。ニュージーランドドルも0.88%高の0.6535米ドル。
リスク選好度は改善したものの、暗号資産(仮想通貨)のビットコインは2.59%安の2万8426ドルだった。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 10年債利回りが6週間ぶりの低水準で推移した。経済成長への懸念やインフレがピークに達した可能性を示す兆候が見られるため、米連邦準備理事会(FRB)が従来予想ほど利上げを行わない可能性があるとの見方が浮上した。
フェデラル・ファンド(FF)金利先物は、FRBが6月と7月に0.50%ポイントの利上げを行い、9月にも同じ幅での利上げを決定する可能性があるとの見方を織り込む水準にある。
ただ、最終的な利上げ幅についての予想は縮小しており、来年3月時点の金利水準は2.89%とみられている。23日には3.03%だった。
10年債利回りは2ベーシスポイント(bp)低下し2.743%。前日に付けた6週間ぶり低水準の2.706%付近で推移した。
2年債と10年債の利回り格差は1bp縮小し26bp。
米商務省が27日発表した4月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年同月比6.3%上昇と、伸び率は1982年以来の高水準となった前月の6.6%から縮小した。
物価上昇の最悪期が過ぎれば経済への悪影響は減少するとの観測が高まったため、指標発表後に利回りは一時的に上昇した。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 大幅続伸。インフレ鈍化と底堅い消費支出を示す統計を受け、米連邦準備理事会(FRB)が景気後退を回避しつつ、金融引き締めを進めることが可能という楽観的な見方が広がった。
週間ベースでも、ダウ工業株30種が9週間ぶり、S&P総合500とナスダック総合がともに8週間ぶりに上昇に転じた。
S&Pは今週6.6%値上がりし、2020年11月以来の好成績となった。
ダウの8週連続での下落は1932年の世界大恐慌以来最長。S&Pとナスダックの7週連続での下落も、ドットコム・バブルがはじけた2001年以来の最長だった。
GLOBLATのポートフォリオマネージャー、キース・ブチャナン氏は「市場はネガティブなニュースやFRBの行動を消化し、企業決算シーズンも終了しようとしている」とし、「相場が底を打ち始めた兆候」が見られると述べた。
米商務省が27日発表した4月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年同月比6.3%上昇。伸び率は1982年以来の高水準となった前月の6.6%から縮小した。前月比でも0.2%上昇と、3月の0.9%上昇から減速し、2020年11月以来、最小の伸びにとどまった。
S&Pの主要11セクター全てが上昇し、一般消費財、情報技術、不動産の上げが目立った。
アップルやマイクロソフト、テスラの買いも膨らんだ。
決算を好感し、美容品販売アルタ・ビューティーとデル・テクノロジーズはともに12%超急伸した。
一方、見通しを下方修正を受け、アパレル大手のアメリカン・イーグル・アウトフィッターズは6.6%安。同業ギャップも一時下げたものの、切り返し、4.3%高で引けた。
30日はメモリアルデーの祝日で、米株式市場は休場となる。連休を控え、比較的薄商いとなる中、米取引所の合算出来高は109億2000万株。直近20営業日の平均は131億3000万株。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を6.49対1の比率で上回った。ナスダックでも4.13対1で値上がり銘柄数が多かった。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 米長期金利の低下を背景に小幅上伸した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比3.40ドル(0.18%)高の1オンス=1857.30ドルだった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 欧州連合(EU)がロシア産石油輸入禁止で合意すれば、需給がひっ迫するとの 懸念から買いが優勢となり、3日続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は前日比0.98ドル(0.86%)高の1バレル=115.07ドルとなった。終値の水準は、中心限月ベースで3月8日以来約2カ月半ぶりの高値となった。8月物は前日比0.98ドル高の112.23ドルだった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]