日経平均は大幅反落。
572.70円安の25858.50円(出来高概算7億1001万株)で前場の取引を終えている。
16日の米株式市場でNYダウは741.46ドル安と大幅反落。
スイス国立銀行(中央銀行)が予想外に2007年以来の利上げに踏み切ったほか、英イングランド銀行(同)も5会合連続での利上げを実施し、世界的な金融引き締めの加速が警戒された。
また、米国の住宅着工件数やフィラデルフィア連銀製造業景気指数が軒並み予想を下回ったことも投資家心理を悪化させた。
連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げによる景気後退懸念も強まり、終日軟調に推移。
ナスダック総合指数も-4.08%と大幅反落。
欧米株の急落を受けて日経平均は443円安と26000円割れからスタート。
寄り付き直後に25720.80円(710.40円安)とこの日の安値を付けた後は下げ渋ったが、自律反発はむなしく、その後は安値圏でのもみ合いが続いた。
個別では、レーザーテック (TYO:6920)、ソフトバンクG (TYO:9984)、東エレク (TYO:8035)、リクルートHD (TYO:6098)などの主力ハイテク・グロース(成長)株が軒並み急落。
ルネサス (TYO:6723)やアドバンテスト (TYO:6857)、SUMCO (TYO:3436)など半導体関連の下落が特に目立つ。
為替の円高への揺り戻しに加えて6月の生産計画の下方修正が伝わったトヨタ自 (TYO:7203)が大きく下落し、日産自 (TYO:7201)、デンソー (TYO:6902)などの自動車関連も大幅安。
INPEX (TYO:1605)
や三井物産 (TYO:8031)などの資源関連、三菱重 (TYO:7011)、川崎重 (TYO:7012)、IHI (TYO:7013)の防衛関連、信越化 (TYO:4063)、日本製鉄 (TYO:5401)などの景気敏感株も総じて下落。
東証プライム市場値下がり率上位にはギフティ (TYO:4449)、MSOL (TYO:7033)といった中小型グロース株の一角のほか、富士通ゼネラル (TYO:6755)、アルバック (TYO:6728)、スタンレー電気 (TYO:6923)、新光電工 (TYO:6967)、昭和電工 (TYO:4004)など入った。
一方、東証プライム売買代金上位ではファナック (TYO:6954)、ベイカレント (TYO:6532)、東レ (TYO:3402)、ダブル・スコープ (TYO:6619)などが逆行高。
レーティング格上げが観測された京王電鉄 (TYO:9008)やデサント (TYO:8114)、eスポーツ事業への参入を発表したソルクシーズ (TYO:4284)などが値上がり率上位にランクイン。
業績予想を上方修正したエアトリ (TYO:6191)も高い。
ほか、神戸物産 (TYO:3038)、山崎パン (TYO:2212)、カルビー (TYO:2229)などの内需系ディフェンシブ銘柄が堅調。
セクターでは鉄鋼、輸送用機器、鉱業を筆頭に全般売り優勢の展開。
一方、繊維製品、食料品の2業種が上昇した。
東証プライムの値下がり銘柄は全体の86%、対して値上がり銘柄は12%となっている。
日経平均は海外市場の急落を受けて大幅安を強いられ、5月13日以来となる26000円割れとなっている。
寄り付きから急落した後はもみ合い状態で下値模索の展開とはなっていないが、自律反発の動きはほとんど見られず、26000円を割れても下げ達成感が台頭している様子はない。
また、興味深いのは、前日の米株市場ではナスダックの下落率がとりわけ大きかったにもかかわらず、本日の東京市場ではベイカレントやJMDC (TYO:4483)といったグロ−ス株の一角が逆行高となっているほか、エムスリー (TYO:2413)などのグロ−ス株の下落率があまり大きくない。
一方で、今まで全体相場が軟調ななかでも強い動きを続けてきたINPEXや三菱重工、大阪チタ (TYO:5726)といった景気敏感株の下落率の方が大きい。
こうした点から、今日の下落相場においては、短期筋主導の先物売りも出ているだろうが、実需筋の売りもそれなりに出ていると推察される。
実際、前引け時点での東証プライムの売買代金は1兆6000億円あまりと、15日、16日に比べてまずまず膨らんでいる。
世界経済の中心である米国において経済指標の大幅な下振れが相次ぐなか、FRBだけでなく、世界各国の中央銀行がインフレ抑制のために相次いで利上げを急いでいる。
それでも、インフレのピークアウトが未だ見通せないなか、今後さらに利上げペースが加速する可能性もあり、投資家はいよいよ当局による積極的な引き締めが景気後退を招くオーバーキルへの警戒感を本格的に織り込み始めたと考えられる。
原油先物価格が反発している中でも、INPEXが急落していることや、上値追いが続いていた防衛関連株の急落は、こうした背景に基づく実需筋の売りを表していると考えられる。
短期筋による先物主導の下げであれば、状況次第ですぐに買い戻し、相場の反発なども想定されるが、実需筋が売り始めたとなると、相場の反発は当面期待しにくく、調整局面は長引きそうだ。
当面は我慢強く相場の基調転換を待つべき局面とみられ、安易な押し目買いは避けた方がよいだろう。
後場の日経平均は安値圏でのもみ合いが続きそうだ。
前場の東証株価指数(TOPIX)
の下落率が2%を超えたことで、日銀による上場投資信託(ETF)買いへの思惑が下値を支えることも考えられるが、世界的な金融引き締め懸念が重くのしかかる。
また、本日午後には日銀金融政策決定会合の結果公表と黒田総裁の記者会見が予定されている。
為替動向への影響力が大きいだけに、総裁の発言内容などは注目度が高い。
模様眺めムードが広がりやすいなか、積極的な押し目買いは期待できないだろう。
(仲村幸浩)
572.70円安の25858.50円(出来高概算7億1001万株)で前場の取引を終えている。
16日の米株式市場でNYダウは741.46ドル安と大幅反落。
スイス国立銀行(中央銀行)が予想外に2007年以来の利上げに踏み切ったほか、英イングランド銀行(同)も5会合連続での利上げを実施し、世界的な金融引き締めの加速が警戒された。
また、米国の住宅着工件数やフィラデルフィア連銀製造業景気指数が軒並み予想を下回ったことも投資家心理を悪化させた。
連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げによる景気後退懸念も強まり、終日軟調に推移。
ナスダック総合指数も-4.08%と大幅反落。
欧米株の急落を受けて日経平均は443円安と26000円割れからスタート。
寄り付き直後に25720.80円(710.40円安)とこの日の安値を付けた後は下げ渋ったが、自律反発はむなしく、その後は安値圏でのもみ合いが続いた。
個別では、レーザーテック (TYO:6920)、ソフトバンクG (TYO:9984)、東エレク (TYO:8035)、リクルートHD (TYO:6098)などの主力ハイテク・グロース(成長)株が軒並み急落。
ルネサス (TYO:6723)やアドバンテスト (TYO:6857)、SUMCO (TYO:3436)など半導体関連の下落が特に目立つ。
為替の円高への揺り戻しに加えて6月の生産計画の下方修正が伝わったトヨタ自 (TYO:7203)が大きく下落し、日産自 (TYO:7201)、デンソー (TYO:6902)などの自動車関連も大幅安。
INPEX (TYO:1605)
や三井物産 (TYO:8031)などの資源関連、三菱重 (TYO:7011)、川崎重 (TYO:7012)、IHI (TYO:7013)の防衛関連、信越化 (TYO:4063)、日本製鉄 (TYO:5401)などの景気敏感株も総じて下落。
東証プライム市場値下がり率上位にはギフティ (TYO:4449)、MSOL (TYO:7033)といった中小型グロース株の一角のほか、富士通ゼネラル (TYO:6755)、アルバック (TYO:6728)、スタンレー電気 (TYO:6923)、新光電工 (TYO:6967)、昭和電工 (TYO:4004)など入った。
一方、東証プライム売買代金上位ではファナック (TYO:6954)、ベイカレント (TYO:6532)、東レ (TYO:3402)、ダブル・スコープ (TYO:6619)などが逆行高。
レーティング格上げが観測された京王電鉄 (TYO:9008)やデサント (TYO:8114)、eスポーツ事業への参入を発表したソルクシーズ (TYO:4284)などが値上がり率上位にランクイン。
業績予想を上方修正したエアトリ (TYO:6191)も高い。
ほか、神戸物産 (TYO:3038)、山崎パン (TYO:2212)、カルビー (TYO:2229)などの内需系ディフェンシブ銘柄が堅調。
セクターでは鉄鋼、輸送用機器、鉱業を筆頭に全般売り優勢の展開。
一方、繊維製品、食料品の2業種が上昇した。
東証プライムの値下がり銘柄は全体の86%、対して値上がり銘柄は12%となっている。
日経平均は海外市場の急落を受けて大幅安を強いられ、5月13日以来となる26000円割れとなっている。
寄り付きから急落した後はもみ合い状態で下値模索の展開とはなっていないが、自律反発の動きはほとんど見られず、26000円を割れても下げ達成感が台頭している様子はない。
また、興味深いのは、前日の米株市場ではナスダックの下落率がとりわけ大きかったにもかかわらず、本日の東京市場ではベイカレントやJMDC (TYO:4483)といったグロ−ス株の一角が逆行高となっているほか、エムスリー (TYO:2413)などのグロ−ス株の下落率があまり大きくない。
一方で、今まで全体相場が軟調ななかでも強い動きを続けてきたINPEXや三菱重工、大阪チタ (TYO:5726)といった景気敏感株の下落率の方が大きい。
こうした点から、今日の下落相場においては、短期筋主導の先物売りも出ているだろうが、実需筋の売りもそれなりに出ていると推察される。
実際、前引け時点での東証プライムの売買代金は1兆6000億円あまりと、15日、16日に比べてまずまず膨らんでいる。
世界経済の中心である米国において経済指標の大幅な下振れが相次ぐなか、FRBだけでなく、世界各国の中央銀行がインフレ抑制のために相次いで利上げを急いでいる。
それでも、インフレのピークアウトが未だ見通せないなか、今後さらに利上げペースが加速する可能性もあり、投資家はいよいよ当局による積極的な引き締めが景気後退を招くオーバーキルへの警戒感を本格的に織り込み始めたと考えられる。
原油先物価格が反発している中でも、INPEXが急落していることや、上値追いが続いていた防衛関連株の急落は、こうした背景に基づく実需筋の売りを表していると考えられる。
短期筋による先物主導の下げであれば、状況次第ですぐに買い戻し、相場の反発なども想定されるが、実需筋が売り始めたとなると、相場の反発は当面期待しにくく、調整局面は長引きそうだ。
当面は我慢強く相場の基調転換を待つべき局面とみられ、安易な押し目買いは避けた方がよいだろう。
後場の日経平均は安値圏でのもみ合いが続きそうだ。
前場の東証株価指数(TOPIX)
の下落率が2%を超えたことで、日銀による上場投資信託(ETF)買いへの思惑が下値を支えることも考えられるが、世界的な金融引き締め懸念が重くのしかかる。
また、本日午後には日銀金融政策決定会合の結果公表と黒田総裁の記者会見が予定されている。
為替動向への影響力が大きいだけに、総裁の発言内容などは注目度が高い。
模様眺めムードが広がりやすいなか、積極的な押し目買いは期待できないだろう。
(仲村幸浩)