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イノベーション Research Memo(1):中長期成長に向け「INNOVATION Ecosystem」確立目指す

発行済 2022-06-24 16:11
更新済 2022-06-24 16:16
© Reuters.
3970
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■要約

イノベーション (TYO:3970)は、法人営業の生産性向上を目的にインターネットを活用した各種マーケティング支援サービスを展開している。
IT製品の比較・資料請求サイト「ITトレンド」(資料請求件数に応じて売上が発生する成果報酬型ビジネスモデル)を中心としたオンラインメディア事業、中堅・中小企業を対象としたマーケティングオートメーション※(以下、MA)ツール「List Finder」を提供するITソリューション事業、IFA(Independent Financial Advisor:独立系ファイナンシャルアドバイザー)による証券・保険・不動産等の資産コンサルティングサービスを行う金融プラットフォーム事業を手掛けている。


※マーケティングオートメーションとは、マーケティング活動におけるプロセスの自動化や効率化を支援するシステムの総称で、見込み顧客情報を管理し、中長期にわたって良好な関係性を築くためのコミュニケーションや最適なタイミングで営業に引き渡す際に必要な煩雑な業務を自動化するために開発されたツールのことを指す。



1. 2022年3月期の業績概要
2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比42.1%増の4,380百万円、営業利益で同50.2%増の777百万円、経常利益で50.0%増の784百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同52.7%増の448百万円となり、期中に上方修正した会社計画を上回った。
売上面では、主力のオンラインメディア事業において資料請求数が好調であったこと、「ITトレンドEXPO」が計画を上回る出展者数と視聴登録者数を獲得できたことが大きい。
利益面では、中長期の成長戦略を見据えた人材の確保、グループ事業を横断してデータベースマーケティングの強化に向けた開発投資により費用の増加が見られたが、それらの投資の効果も期中に現われてきた。


2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績見通しは、売上高で前期比26.7%増の5,550百万円、営業利益で同6.7%増の830百万円、経常利益で同5.8%増の830百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同6.0%増の475百万円となっている。
既存事業の利益水準を高めながら、中長期的な成長のための先行投資を積極的に推し進め、成長スピードを速めていく。
オンラインメディア事業は、「ITトレンド」への掲載製品・サービス数の拡大を図るとともに、検索エンジンを中心とした集客の最適化、口コミ機能の拡張やユーザーデータベース構築を推進することで、来訪者数と資料請求数のさらなる増加を見込んでいる。
ITソリューション事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)に伴い、企業の営業活動におけるインターネットを活用したOne to Oneマーケティングの重要性はさらに増してくると見込んでいる。
金融プラットフォーム事業は、子会社の(株) Innovation IFA Consultingを核として、既存のIFA事業にとどまらず、デジタル化・ITプラットフォーム化を見据えた事業展開を目指していくと見られる。


3. 中長期の成長戦略
同社は2022年3月に2025年3月期を最終年度とする3ヶ年中期経営計画を策定した。
中期コンセプトとして『INNOVATION Ecosystemを確立し、連続・非連続※領域での成長を実現する。
』を掲げ、戦略を打ち立てた。
計画値として、2025年3月期に売上高83億円、営業利益18.4億円を掲げ、営業利益率22.2%と高利益体質を目指している。
独自の事業開発ノウハウを金融業界や医療業界、建築業界といったIT業界以外にも展開していく考えである。
売上高の内訳は、オンラインメディア事業で47.5億円、ITソリューション事業で12.7億円、金融プラットフォーム事業で22.8億円となっており、既存事業のみで構成されている。
データ資産を新たな市場に投入するデータ・マネタイゼーションの始動や、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)活動を通じた連続・非連続事業の創出については、計画値に織り込まれていない。


※連続・非連続とは、連続が「連続的な変化」を表すのに対し、非連続は「M&Aや新規事業による事業拡大」を表す。
企業がこれまで提供してきた事業やサービスの先につながるのが「連続」、これまでとは異なる軸で事業やサービスを展開するのが「非連続」と言える。



■Key Points
・2022年3月期は、主力のオンラインメディア事業が好調
・2023年3月期は、売上高・営業利益ともに過去最高を見込むも、将来成長のための投資を継続
・中長期的には、独自の事業開発ノウハウをIT業界以外にも展開していく考え

(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)


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