[東京 27日 ロイター] - 来週の東京株式市場は不安定な地合いが見込まれている。ドル高に起因する米企業業績への警戒感を背景に米国株が調整ムードを強めており、日本株にも海外勢の売りが出やすい。国内機関投資家による益出しの売りを指摘する声も出ている。もっとも下値では公的マネーが下支えするほか、個人の待機資金も高水準で底堅さは維持するとの見方が多い。
日経平均の予想レンジは1万8700円─1万9700円。
日経平均ボラティリティ指数 .JNIV は27日、一時23.89まで上昇し、2月6日以来、約1カ月半ぶりの高値水準となった。「日経平均が高安で500円近くも動けばこの程度のボラティリティの上昇は当然」(米系証券トレーダー)といい、特に警戒感は高まっていないものの、「足元の相場はフラジャイル」(同)との見方が強まっている。
上昇基調を維持していた日本株が不安定化した一因として、米国株が調整色を強めたためとの見方が多い。前週末から26日終値までの米ダウ .DJI のパフォーマンスはマイナス2.48%。同期間の日経平均(同マイナス0.48%)や独DAX指数 .GDAXI (同マイナス1.63%)との比較では米国株の下落率が大きい。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成氏は「ドル高による米企業業績への悪化懸念が米モメンタム株の調整につながっている。直近は日本株と米国株の連動性が薄まっていたが、米国株が本格調整となれば、さすがに日本株の買いポジションも落とさざるをえない」との見方を示す。
東証・大取が公表している海外投資家の売買動向(現物・先物合計)によると、3月第3週は6週ぶりに売り越しに転じた。海外勢は2月第2週から3月第2週までの5週間で約3兆円も買い越しており、これがアンワインドされれば日本株の下押しは避けられない。 加えて「新年度に入ってから高値圏で売り抜けたい国内機関投資家も多い」(準大手証券)といい、日経平均1万9000円割れも視野に入るという。
もっとも良好な需給環境が日本株を支えるとの声も多い。下値では日銀によるETF(上場投資信託)買い入れが期待されるほか、「公的年金や個人投資家の押し目買い意欲は依然として根強い。米国株に対する懸念から上値は取りづらい地合いになりつつあるが、底堅さは変わらない」(松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏)とみられている。
主なイベントとして、国内では30日の2月鉱工業生産や4月1日の日銀短観が注目される。ロイターがまとめた民間調査機関の予測によると、大企業製造業DIは現状・先行きともに改善が見込まれている。
米国では1日の3月ADP全米雇用報告や3月米ISM製造業景気指数、3日の3月米雇用統計など重要経済指標が目白押し。週末3日には休場になることもあり、週末にかけて様子見ムードが強まりそうだ。ほか、1日に欧州と中国で3月製造業PMIが発表される。
(株式マーケットチーム※)