[30日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は30日、インフレがなお高まる可能性があるため、ECBは金利を速やかに正常化する必要があると述べた。また、金利を成長を刺激も抑制もしない中立水準まで引き上げるだけでは十分ではない可能性があるとした。
ダンスケ・バンクのイベントで「金利の迅速な正常化は不可欠な第1段階であり、ある程度の前倒しを排除すべきではない」と指摘。「インフレ問題が拡大・深化しているため、力強く行動する必要がある」とした。
自身が選好する利上げ幅については0.75%ポイントに傾いているが、データを確認し、他の政策当局者と議論する必要があるとした。
第1段階として、ECBは年内に金利を中立水準(1%から2%の間)に戻す必要があるが、これで十分とは「確信していない」とし、制限的な政策が必要になるかもしれないと言及。食料品価格やエネルギー価格の上昇、ユーロ安、膨大な予算支出、期待の高まりなど、インフレには上昇リスクがあると主張した。
ガス供給の停止を考慮すると、リセッション(景気後退)がベースシナリオとなる見方が強まっており、そうなれば物価上昇圧力の重しになるだろうが、それだけでは十分ではないと分析。「仮に景気減速が実現したとしても、それだけでインフレ率が中期的な目標値に戻ることはないだろう」とした。
利上げをどの水準で終了すべきかは不明だが、クノット氏は、インフレ見通しがECBの対称的(シンメトリック)な目標と再び整合的になるまで、利上げを続ければよいとした。
バランスシートの縮小については、資産購入プログラム(APP)で満期を迎えた償還資金の再投資を減少させることで可能だが、これは「非常に緩やかな」ものになると言及。バランスシートの縮小に関する協議は10月か12月に始まる可能性があるとした。