[22日 ロイター] - <為替> 日本政府・日銀が約24年ぶりの円買い介入に踏み切ったことを受け、円が広範な通貨に対し急上昇した。ただ市場関係者は、円の上昇を維持するのは困難になるとの見方を示している。
終盤の取引でドルは対円で1.2%安の142.33円。ドルは一時は24年ぶりの高値となる145.9円まで上昇したが、介入を受け140.31円まで下落。この日の高値と安値との間の差は2016年6月以来の大きさとなった。
ユーロ、英ポンド、スイスフラン、豪ドル、ニュージーランドドルなども対円で大きく下落した。
今回の介入を受けても、ドルの年初からの対円での上昇率は23.6%。年間上昇率としては43年ぶりの大きさになる可能性がある。
英ポンドは0.2%安の1.1251ドル。アジア取引時間帯では1.1213ドルと、37年ぶりの安値を付けていた。
イングランド銀行(英中央銀行)はこの日、政策金利を1.75%から0.5%ポイント引き上げ2.25%とすると発表。引き続き必要に応じて「力強く行動」する方針を示した。
ユーロはほぼ横ばいの0.9832ドル。北米時間の取引開始前は0.9807ドルと、20年ぶりの安値を更新していた。
主要6通貨に対するドル指数は0.1%安の111.32。前日のFRBによる利上げを受け、一時は111.81と、20年ぶり高値を付けていた。
スイスフランはドルとユーロの双方に対し約1.2%下落。スイス国立銀行(中央銀行)はこの日、マイナス0.25%だった政策金利を75ベーシスポイント(bp)引き上げ0.5%とし、マイナス金利を脱した。一部では100bpの利上げも予想されていた。
ノルウェークローネもドルとユーロに対し下落。ノルウェー中央銀行は政策金利を1.75%から2.25%に50bp引き上げた。
<債券> 米債利回りが11年ぶりの高水準を付けた。イールドカーブ(利回り曲線)の主要部分の反転が進み、少なくとも20年ぶりの逆イールドとなった。連邦準備理事会(FRB)がタカ派姿勢を維持するとの見方を受けた。
FRBは20─21日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75%ポイント引き上げ、3.00─3.25%とした。同時に発表された新たな金利見通しでは、高インフレの抑制に向けて政策金利を年末までに4.25─4.50%に引き上げ、23年には4.50─4.75%でピークに達するとの見方が示された。
2・10年債の利回り格差は一時マイナス58ベーシスポイント(bp)となり、少なくとも2000年以降で最大の逆イールドとなった。終盤はマイナス41bp。
5・30年債の利回り格差は一時マイナス34bpを付けた。終盤はマイナス28bpだった。
米労働省が22日に発表した17日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比5000件増の21万3000件となった。米連邦準備理事会(FRB)は積極的な利上げにより需要の鎮静化を図っているが、申請件数の増加は緩やかで、労働市場がなお逼迫している状況が示唆された。
2年債利回りは4.163%と07年10月以来の高水準。5年債利回りは3.942%と07年11月以来の高水準。10年債利回りは3.716%に上昇し、11年2月以来の高水準を付けた。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物は1.506%と09年6月以来の高水準。10年物は1.322%と11年2月以来の高水準。
米財務省が22日に実施した150億ドルの10年物インフレ指数連動債(TIPS)入札では堅調な需要が見られた。最高落札利回りは1.245%。応札倍率は2.54倍と21年9月以来の高水準となった。
財務省は来週、26日に2年債(430億ドル)、27日に5年債(440億ドル)、29日に7年債(360億ドル)の入札を実施する。
<株式> 主要株価指数が3日続落した。前日の米連邦準備理事会(FRB)による大幅利上げを受け、ハイテク株などのグロース株が売られた。
FRBは20─21日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75%ポイント引き上げ、3.00─3.25%とした。年内に同規模の利上げを少なくとも1回実施する可能性を示唆。パウエル議長はインフレ抑制に向け手を緩めることはないと明言した。
S&Pの主要11セクターのうち9セクターが下落。一般消費財と金融がそれぞれ2.2%、1.7%下げた。
アマゾン・ドット・コム、テスラ、エヌビディアなど大型ハイテク株やグロース株が1─5.3%安。米債利回りが11年ぶりの高水準を付けたことを受けた。
情報技術は年初来で28%安。指数の21.2%安をアンダーパフォームしている。
米航空大手はパンデミック(世界的大流行)に関する制限措置の終了に伴う旅行者増を受けて回復していたが、この日はユナイテッド航空が4.6%、アメリカン航空が3.9%下落。3日間の下げはユナイテッド航空が11%、アメリカン航空が10.6%となった。
ジェットブルー航空は7.1%安。3日続落し、20年3月以来の安値を付けた。
ダーデン・レストランツは4.4%安。さえない第1・四半期売上高を発表したことを受けた。
<金先物> 対ユーロでのドル下落などを背景に続伸した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比5.40ドル(0.32%)高の1オンス=1681.10ドルだった。この日の外国為替市場では、主要通貨に対しドルが下落。ドル建てで取引される商品の割安感から金が買われた。また、朝方に発表された新規失業保険申請件数は21万3000件と、6週間ぶりに悪化。安全資産としての金に買いが入りやすかった。一方で米連邦準備制度理事会(FRB)は前日に75ベーシスポイント(bp)の利上げを決定。米長期金利の上昇が相場の下押し材料となり、上げ幅は限定的だった。
<米原油先物> ロシアのウクライナ侵攻をめぐる地政学リスクの高まりや中国の需要回復期待を背景とした買いに上伸したものの、利益確定の売りに押され上げ幅は限定的だった。米国産標準油種WTIの中心限月11月物の清算値(終値に相当)は前日比0.55ドル(0.66%)高の1バレル=83.49ドル。12月物は0.60ドル高の83.03ドルとなった。
相場は需給逼迫(ひっぱく)懸念から朝方に一時86ドル近辺まで上昇した。ただ、買い一巡後は利益確定の売りが台頭。朝方の上げ幅を大幅に削る荒い値動きとった。米欧をはじめ世界の主要中銀がインフレを抑制する目的で積極的な利上げに動く中、過度の金融引き締めが景気後退(リセッション)を招き、原油需要を鈍化させるとの懸念が再燃した。
ドル/円 NY終値 142.35/142.36
始値 142.5
高値 142.81
安値 140.36
ユーロ/ドル NY終値 0.9836/0.9840
始値 0.9874
高値 0.9887
安値 0.9813
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 88*14.00 3.6375%
前営業日終値 90*14.00 3.5200%
10年債(指標銘柄) 17時05分 92*03.50 3.7098%
前営業日終値 93*21.50 3.5120%
5年債(指標銘柄) 17時05分 96*13.50 3.9291%
前営業日終値 97*11.50 3.7150%
2年債(指標銘柄) 17時05分 98*12.75 4.1180%
前営業日終値 98*19.88 3.9950%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 30076.68 -107.10 -0.35
前営業日終値 30183.78
ナスダック総合 11066.81 -153.39 -1.37
前営業日終値 11220.19
S&P総合500種 3757.99 -31.94 -0.84
前営業日終値 3789.93
COMEX金 12月限 1681.1 +5.4
前営業日終値 1675.7
COMEX銀 12月限 1961.7 +13.7
前営業日終値 1948.0
北海ブレント 11月限 90.46 +0.63
前営業日終値 89.83
米WTI先物 11月限 83.49 +0.55
前営業日終値 82.94
CRB商品指数 277.8457 ‐0.3821
前営業日終値 278.2278